教育ICTデザイナー  田中康平のブログ

教育ICT環境デザイン、ICT支援員、幼児教育とICT、など

30年後

「30年後、2044年」

何歳になっているだろう?

68歳

リタイアしているだろうか?生きてるだろうか?

僕の子どもたちはどうしているだろうか?

長男は41歳、長女は35歳

結婚しているだろうか?

孫は生まれているだろうか?

出張中の機内で読書(貴重な時間です)

「中央公論12月号 壊死する地方都市」

以下、本書より引用

ーーーーーーーーーーー

・「少子化」がもたらす「人口減少」は、同時進行した「長寿化」により高齢者が増え続けたことで見かけ上、隠されてきた。

・地方が自立した多様性の下で持続可能性を有する社会の実現を目指すことが重要となる。

・本来、田舎で子育てすべき人たちを吸い寄せて地方を消滅させるだけでなく、集まった人たちに子どもを産ませず、結果的に国全体の人口をひたすら減少させていく。私はそれを「人口のブラックホール減少」と名付けました。

中央公論2013 12月号 特集「壊死する地方都市」増田寛也 より

ーーーーーーーーーーー

日本の合計特殊出生率は1.41(2012年)

人口が維持される水準の出生率は 2.1

出生を担う若年女性が減少しているので、その水準でも人口減少は止まらない。

人口を増化に転じる為には更に高い出生率が求められています。

地方は高齢化の一途。雇用を担うのは、医療・介護業界。

今後、地方の高齢者も減少し、介護業界の都市部進出が加速するという予測です。

若者は職を求め都市部へ流入し、地方の少子化は加速の一途を辿ると。

東京都の出生率は最も低く、1.09

消滅、壊死する地方都市は多数現れると推計されています。

 

僕の息子や娘が、佐賀で暮らし、家庭を築き

当たり前の人生を送れるように

教育というものを幅広く捉え

真摯に考えていきたいと思います。

 

 

講演の内容と目的

「講演の内容と目的」

ここ連日、講演や講習にお声がけ下さる場所があり、

講師としてお話しする機会を頂きました。

昨日は九州、現地へ赴いて。

今日は北海道、こちらはFaceTimeを利用したTV会議形式での遠隔講演でした。

 

内容は

「ICTを活用した、小・中・高の授業事例」

「課題と解決策」

「ICT支援員の役割と必要な知識」

「これからの教育ICTの見通し」

などです。

「授業事例」は、一人一台の活用を中心に、

「良い事例」と「伸び代の大きい事例」

について、解説していきます。

一人一台、1to1の環境での課題は沢山ありますが、

技術的な課題と

マネジメントの課題について

解決策の方向性をお話ししました。

 

「ICT支援員の役割」は、

自治体や配置人数、ICT環境の違いにより多様であること。

「必要な知識」の2分野について

非常に多岐にわたる「技術的理解に関する分野」

列挙すると仕事の全体像が掴めたのではないでしょうか?

「教育行政と教育現場の理解に関する分野」

教育委員会制度や、教員の任命権者と服務監督者

学習指導要領の概要やそこから読み取れること、

著作権やサイバー犯罪等に関する関係法令の理解、

などについてお話ししました。

 

「これからの教育ICTの見通し」は、

2015年〜2020年までの家庭内と教育現場のICT化の見通し

20年後、2030年台の社会情勢のイメージ

次世代環境で求められること

についてお話ししました。

f:id:tanakou64:20140517210755j:plain

最後に使ったスライドです。

書いている内容は、至極当たり前の事です。

しかしながら、導入する事が半ば目的化していたこれ迄のICT環境整備では

なかなか感じる事ができなかった、大切な視点です。

 

「1to1などの次世代の教育ICT環境の整備で大切な事とは何か?」

最終的に、ここを考えていただくことが講演の目的でした。

 

身の回りのICT環境はいかがでしょうか?

何を動機として整備されてきたのでしょうか?

誰が必要とした機器であり、システムなのでしょか?

 

「より良い授業のために必要な環境とは?」

「子どもたちのどこを伸ばす為に活用するのか?」

「活用し続ける為の手だては講じられているのか?

 

この3点から出発した整備であるならば

埃をかぶるような機器は生まれないはずです。

 

今後、タブレット端末の導入〜1to1の環境が実現されるならば

「運用でカバーするという誤摩化し」

は通用しません。

かといって、最新鋭の機器やシステムを盛り込んでは

維持し続けるだけで多額のコストを必要とします。

限られた予算の中で、何をやって、何をやらないのか?

高度な舵取りが要求されますが、

拘りと柵から離れ、

過去に学び、未来を予測し、専門的知見を求めていけば

まだまだ、できる事は沢山あるはずです。

 

転換期を迎えた今こそ

問い直していきたいと思います。

 

 

 

ピッケのつくるえほんワークショップ

ピッケのつくるえほんワークショップinさが

5月11日(日)に佐賀市立図書館の多目的ホール

午前と午後の2回、開催しました。

幼児とその兄弟姉妹を対象に、親子合わせて定員40名の2回。

結果、用意していた22台のiPadはフル稼働状態で、

なんとか無事に終える事が出来ました。

f:id:tanakou64:20140511111354j:plain

これも、参加してくれた子供たち、保護者の方々、

現役のICT支援員や、幼稚園教諭を目指す学生ボランティアスタッフの皆さん、

iPadをお貸し出しくださったS社のKさん。

特別ゲストのつるみね保育園杉本正和園長

ピッケの作者の朝倉民枝さん

皆様のおかげです。心から感謝しています。

※当日の様子は、弊社HP

 「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@佐賀市立図書館: 「ピッケのおうち」ブログ

でもご覧頂けます。

 

具体的な準備を始めたのは3月中旬から。

告知や集客、会場準備にICT環境構築と慌ただしく過ぎた2ヶ月でしたが、

構想そのものは、じつは4年前から暖めていました。

初めてピッケのつくるえほんアプリを知った日から、

「いつか佐賀でワークショップを開催したい!」

と思い続けてきました。

 

それが、こうして実現でき、

参加した子供たちの笑顔に囲まれ

本当に幸せだと感じました。

 

前日の夜は「大人のワークショップ」と題して

バーで飲みながら、いい歳のおじさんたちが絵本づくりに没頭しました(笑)

 

そのときに、朝倉さんがお話ししてくださったこと。

とても心に響いています。

f:id:tanakou64:20140510174508j:plain

ピッケのつくるえほんのコンセプト

デザインの意味

願い

絵本づくりを通して体験してほしい「喜び」とは何か?

 

このアプリに秘められた

楽しいの先の体験や物語を創りだすチカラ

 

これを、改めて知り、実感した二日間でした。

 

誰かの事を想い、話を紡ぎ、創った、世界でひとつだけのえほん

きっと、子供たちや贈られた方の宝物となって

いつまでも残り続けてくれると思います。

 

それと、「作家になった」

という体験と感動も

子供たちの胸の中にずっと残り続けてくれることを願っています。

 

今回完成したえほんを公開させていただきます。

「ぴっぴのきもだめし」 作家:あきと 

※閲覧期限8月10日まで

iPadiPhoneでは音声も視聴できます。

想像力と創造力を感じて下さい。

この純な感性を大切に伸ばして、広げていきたいですね。

 

本当に、やってよかった。

出来る限り継続していきたいイベントです。

教育ICT事業推進の課題とこれから

「教育ICT事業推進の課題とこれから」

ここ数日、某地域の事例に関する報道や、

これに起因するネット上の書き込み、

SNS上での議論等々

活発な意見交換が様々な場と手法で展開されています。

「ネットワークを介して、多様な意見を知り考察する、良い時代になったな」

とICTの恩恵を多いに感じています。

 

さて、最近講演する機会が増えてきまして、

いくつかの資料を準備しています。

その中から、現時点で提案したい内容を一部抜粋して公開します。

 

 
もう少し詳しい事は、
5月24日(土)に開催される
のパネルディスカッションでお話しいたします。

 一つだけ、留意いただきたいのは
「地域の事情はあるにせよ、どこでも起こり得る課題である」
という事です。
今後、更なる教育ICT事業、情報化推進をお考えの際には
一度、全体を俯瞰し、不足部分の洗い出しをお願いします。
その際に、「過去の事例」を紐解き
「結果と課題」を掴み、参考にしてください。
 
まだまだ、出来る事は沢山あります。

幼稚園でのICT活用インストラクター業務

「幼稚園でのICT活用インストラクター業務」

本日より、佐賀市内の幼稚園でスタートしました。

 

今日は第1回目

年長さんクラスで実践しました。

その名は「ICT(あいしーてぃー)タイム」

1台のiPadをスタンドに設置

AppleTVをプロジェクタに接続

無線LAN環のもと、AirPlayできる状況です。

ケーブルに引っかかる心配もなく、iPadの画面を大きく映して、

皆で「場」を共有します。

f:id:tanakou64:20140502103208j:plain

 まずは、インストラクターの紹介と、

3つのやくそく「まつ」「みる」「おうえんする」を確認。

最初は、「絵本の読み聞かせ」から。

一人の園児に操作をお願いします。

この時、インストラクターは「ICT支援員」となります。

f:id:tanakou64:20140502104818j:plain

読み手は、担任の先生です。

子どもたちは、いつもと違った絵本に、集中して聴いてくれています。

その後は、アルファベットアプリで、操作に慣れながら遊びました。

f:id:tanakou64:20140502105330j:plain

子どもたちは

「そこ〜、もっと下〜」「がんばれ〜」

と、声をかけながら見ています。

楽しそうに、集中してくれています。

おやくそくも、しっかり守ってくれました。

初めての実践は、予想以上にスムーズに、のびのびと取り組む事ができました。

 

これだけ見ると、「楽しい」「集中していた」で終わるのですが、

実践の前には指導案を作成し、活用の「ねらい」を明確にしています。

今日の様子を振り返り、「到達度合い」と「次へのてだて」を考えます。

それを、担任の先生と共有し、実践の記録として残していきます。

 

「めあて」を絞る時に常に意識しているのは

「キー・コンピテンシーの育成です」

f:id:tanakou64:20140502215448j:plain

我々は、星印の項目を重視しながらアプリの選定やICTの活用方法を探っています。

子どもたちの年齢、構成に応じて指導案を練っています。

 

また、これまでの保育や教育活動は大切にしたいと考えています。

f:id:tanakou64:20140502215422j:plain

とくに、「場」を共有する事には重きを置いています。

日頃の活動と友だちや先生との関わりの充実がある中に

時代に応じた道具として「ICT」を少しだけ取り入れることで

「つくる」「つたえる」「かかわる」

といったチカラを今以上に引き出したいと願っています。

 

今日は18人のクラスでした。

冒頭、園児たちに一つだけ質問しました。

「家で、スマホタブレット、パソコンを使って遊んでいますか?」

全員が手を挙げました。予想以上でした。

子どもたちの生活には浸透しているのです。

なので、操作はお手のモノ。スイスイです。

一方、保護者の方からは

「ゲームばっかりしている」「あまり使わせたくない」「良いイメージがない」

といった声が聞こえてきます。

子どもたちや先生方、保護者の方と一緒に

「よりよい活用」「よりよい関わり方」を広めていきたいと思います。

 

幼保での取り組みに関する着想から今日まで数年。

近年は、「小学校ではもう遅い」と考え、方略を練ってきました。

 

イメージがカタチになる喜びを噛み締めています。

同時に、取り組み始めた責任を全うしたいと思います。

 

今後も、定期的にレポートしていきます。

 

極点社会 地方消滅?

「極点社会 地方消滅?」

 

最近、人口ピラミッド

人口推移統計資料をもとに考える事が増えました。

 

そこへきて、本日のNHKクローズアップ現代では

「極点社会〜新たな人口減少クライシス〜」

という特集。

リアルタイムで見つつ、録画も。

とある事例として出てきたのは、幾度となく訪れた四国の地方都市。

たしかに、駅前の商店街は寂しかったけど、、、

地方によく見られる光景かと軽く考えながら見過ごしてきました。

今夜の放送では、既に人口減少に突入している、しかも高齢者の減少が始まっているとの事。

地元金融機関の話では、高齢者の預金残高がここ数年で12億円減少したらしい。

購買層=高齢者 

という経済基盤では、どう考えても発展性がないという状況。

首長は「限界集落ではなく、消滅集落だ」と語る。

 

ここまで人口減少が進行していなくとも、殆どの地方都市は高齢化社会の中で成り立っています。

それを物語るのが、産業構造の変化。

特徴的なの、介護業界への就労の増加です。

私が住む地域でも、求人欄に多くみられるのは

「ケアハウス」「福祉」「ホームヘルパー」等の文字。

最近の変化として、福祉事業運営団体が、地元だけでは経営が成り立たなくなり、都市部へ進出しているそうです。

そこへ、働き手として多くの若い女性が移住しているという報告。

地方の女性は減少し、当然出生率も下がり、子どもは減り、都市の衰退や消滅をまねくスパイラルに入りつつあるとの指摘でした。

 

確かに、地方には仕事が無いと言われます。

安定した職場は、「役所」「農協」「病院」「福祉施設」など。

どこを見ても、税金や補助金の恩恵を大なり小なり受けている事業体です。

純粋に民間の活力で市場を形成し、利益を得ている企業や団体はそれほど多くはないでしょう。

 

なぜ、このようになったのか?

どうすれば好転できるのか?

 

その源泉は、やはり「教育」にあるのではないでしょうか?

 

子どもたちの創造性を伸ばし、自ら仕事を生み出す。

人間関係形成能力を高め、居場所を確保し、他者を活かす。

得たチカラや財産を社会に還元する。

 

縮小する社会を維持するためにも、

拡張している社会=海外に飛び込むこと 

これは欠かせなくなるでしょう。

その時に、時間と空間を縮めてくれる「ICT」を効果的に活用する術は必須です。

 

現実的な未来を逆算して考えた場合、

行き着くところは

「幼児年代からの、他者との関わりの中でのICT活用」

というのが私の考え方であり、今の活動の原点です。

 

この事を日々確認しながら、

明日のため、5年後のため、10年後のため、20年後のために。

 

まずは、明日!

新しい取り組みがスタートします!

One to One 一人一台

「One to One 一人一台」

この規模でタブレット端末が導入されると、どうなるのか?

少しだけ、想像力を働かせて、考えてみましょう。

 

電子黒板と実物投影機があって、

そこに指導者用デジタル教科書がある。

こういう環境の学級も珍しくなくなってきた昨今。

 

・大きく映す

・見せたいところを拡大する、線を引く

・動画コンテンツを見せる

 

シンプルな活用を心がけ

可視化、焦点化、共有化を上手に取り入れる事で

子どもたちの視線をグッと集め、より理解を促してくれる。

体感し、実感している先生も多いのではないでしょうか?

 

デジタル教科書や

NHK for School

などのコンテンツを上手に活用する事で

教材準備や教材提示の方法が変わり、

授業の中の時間配分も変化していきます。

これも体感し、実感している先生は多いと思います。

「ICTの効果的な活用」と言える場面ですよね。

 

導入から数ヶ月。

使い始めた当初は

「キラキラと輝いて見えた子どもたちの瞳」

次第に、当たり前の事として見る=慣れる

慣れ、日常にとけ込む事は良い事ですが、

「飽きる」こともあるようです。

そうならないように、

「道具に頼らない授業」

これが最も大切だということは、日々研鑽されている先生方ならばご承知のこと。 

ここまでは、教師個人の力量で対応出来る範囲だと思います。

 

ここへ

「One to One 一人一台のタブレット端末」

が入るとどうなるのでしょうか?

 

選択したOSやシステム、端末の性能によっては

授業は途端に難しくなります。

ストップする事が増えます。

 

無線LANなどのネットワークトラブルによるストップ

タブレット端末のトラブルによるストップ

利用者の技能習得度合いの凸凹によるストップ

 

大きく分けると、このような事が原因です。

上2つの技術的な原因は、

そもそもの設計に問題があり、

完全に解消する事は大変難しく、

対処療法、運用でカバーするしかない場合が多いと思われます。

40人学級で毎授業、3台前後が何らかのトラブルに見舞われる。

OSやシステム環境によっては、珍しくない光景です。

復旧対応しなければ、タブレット端末が活用出来ず、

授業の数分が奪われていきます。

再起動が必要な場合も多く、

ここでも、その児童・生徒の数分が奪われます。

電源ON〜ネットワークログオン〜完全起動 

通常の起動の流れでも数分を要します。

校務用PCでも同じ状況ではないでしょうか?

 

利用者の技能習得度合いの凸凹

これは、どう解消すれば良いのでしょうか?

現在の学習指導要領が示す学習内容と時数配分の中で、

情報リテラシーの育成に充てる時間を確保出来るのでしょうか?

「文字入力」

「ファイルとフォルダの違い」

「ネットワーク上の共有フォルダ」

「ファイルのコピーと切り取り、貼付けの違い」

「上書き保存と名前をつけて保存の違い」

「アクセス権」

などなど、、、

大人相手でも、理解し習得してもらうのは大変な内容を、

クラス全員が身に付けなければ、授業が成り立ちません。

 One to One 一人一台のタブレット端末を活用する事が如何に大変な事か

想像していただけるのではないでしょうか?

 

だったら、

タブレット端末は導入しない」

という考えに立ってしまうかもしれません。

 

ここで考えなければならないのは、

「家庭では、既に一人一台の時代に入りつつある」

という事です。

WindowsPCだけではなく、iPadAndroidタブレット

スマートフォンなどをカウントすれば、そうなるのです。

 

私は、One to One は、世の必然だと思います。

特に、タブレットスマートフォンは、

情報端末としての在り方と関わり方を一変させました。

その結果の現在です。

 

説明書やガイドブックを目にせずとも、すぐに活用出来る。

すぐに起動する。

いつでも、どこでも、ネットワーク(インターネット)にアクセス出来る。

気になる事はすぐに調べる。

分からない事は、詳しい誰かに訪ねる事が出来る。

端末トラブルも殆ど発生しない。

幼児でも操作出来る。プレゼンも出来る。

 

こういう環境のOne to One であればどうでしょうか?

 

今後は、このような「無理せず活用出来る環境」が増えてくる事を願います。

 

これが発展し、

頭に浮かぶイメージをすぐに表現するためのツールが常に側に在り、

子どもたちの創造性が十二分に発揮され、

伝えあい、学びを深め、学び続けたいと思う環境になればどんなに素晴らしい事か。

今、決定的に不足しているのは、そういう視点ではないでしょうか?

Apple - グリーン郡の学校組織

このようにイメージした上でこの動画を見ると

この国とのギャップを感じずにはいられません。