5年目を迎えた幼稚園・保育園での「ICTタイム」
幼稚園や保育園の年長児を対象とした「ICTたいむ」
ICTスクールNELのサービスとして実施を始めて、今年(2018年)で5年目を迎えました。
取り組み方法は大きく変っていませんが、カリキュラムの中身や、子供たちの支援方法などは細かな改善を繰り返してきました。
今回、保護者の方向けに「ICTたいむ」について説明する機会をいただきました。
その時の資料を元に、取り組み内容などについて改めて書いてみます。
(※保護者向けスライドとして作成したもの。)
〜取り組みの内容〜
つくる・つたえる
まつ・みる・おうえんする
「ICTたいむ」の基本となる「おやくそく」
「まつ」 自分の順番を待つ
「みる」 友達の活動をよく見て、学ぶ
「おうえんする」困っていたら教え合う、助け合う
みんなにとって楽しい時間になるように、毎回最初に確認しています。
グループの創作活動では、協力する場面が多くなります。互いに相手を尊重し、助け合いながら作品を創っている姿を見ることができます。ともだちの表現を見たり真似るなどを通して、表現が変化する姿も見ることができます。
アナログな活動に、ちょっとだけデジタル(ICT)が加わることで、より豊かな表現が育くまれることを期待しています。
伝え合う。
ことば
会話が増え、多様になると、「ことばの種類」(語彙)が増えることが期待されます。
「ことば」は、思考を支える大切なものです。
豊かな思考力を育むためにも「ことば」を大切にしていきたいと考えています。
新しい幼稚園教育要領への対応
平成30年度より、幼稚園教育要領(文部科学省)が改定されました。大きな特徴として「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿(10の姿)」が示されています。
従来から取り組んでいる幼稚園教育において「10の姿」が示す内容を育むとともに、ICTタイムの中でも、育ちが期待出来る内容が多く含まれています。
ICTタイムでは「10の姿との関連」をテーマとして実践研究を進めています。
【幼児期の終わりまでに育ってほしい姿】
(10の姿)
・健康な心と体
・自立心
・協同性
・道徳性、規範意識
・社会生活との関わり
・思考力の芽生え
・自然との関わり、生命尊重
・数量や図形、文字等への関心、感覚
・言葉による伝えあい
・豊かな感性と表現
※太字は、「ICTたいむ」において関連付けて取り組んでいる部分
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保護者の方々には、概ねご理解をいただいたようでした。
この後、保護者参観でしたの、お子様と一緒に実際にICTタイム体験していただきました。
毎年アンケートを実施しています。
多くは好意的に受け止められているようです。(これは、過去4年変わりません)
しかし、中には
・視力や姿勢が悪くならないか不安
・ゲーム利用などが心配
・有害なサイトを閲覧するなどが心配
※過去のアンケートより
など不安な面についてのご意見が寄せられます。
「ICTたいむ」の活動の中では、視力の低下や姿勢の悪化、ゲーム利用などに繋がらないように十分配慮をした上で、カリキュラムを開発し、園児の活動をデザインしています。
インターネット利用は、海外の友達などと交流する時のみで、それ以外は接続していませんので、有害サイトを見ることが無いようにしています。(オフラインで活用できるアプリや機能を選定しています)
活動の様子を実際に見ていただくことで、安心していただけるのではと思い、今年度より保護者参観での「親子ICTたいむ」を実施することにしました。
保護者の不安の背景には、ご家庭での利用に関連する部分が多いのかもしれません。
今後は、「スマホやタブレット端末の上手な付き合い方」などの保護者向け講座について企画していきたいと思います。
ありがたいことに、「ICTたいむ」について肯定的なご意見を多くいただいています。
・きちんと知って使うことが大切。とても良い機会だと思います。
・自分の想像力を膨らませるのがとても楽しそうです。
・皆の前で発表する体験ができる。これから必要になってくると思う。
・友達と協力してできたことが一番の喜びのようでした。
・順番を待ったり、協力したり、発表したりすることは貴重な経験だと思います。
※過去のアンケートより
今後の励みになりますし、さらに良い取り組みにしていきたいと思います。
今、多くの幼児が様々なICT機器に囲まれて生活しています。
保護者の方のスマートフォン、ゲーム機、タブレット端末、など、
ICTタイムに参加している園児に聞くと、殆どが「利用経験がある」と答えます。
利用経験がある園児の多くが「1人で利用している」と答えます。
そして、利用内容の多くは「動画を見る」「ゲームをする」です。
1人での利用により生活の中での「会話(聞く・話す)」が減っているのではないか、
「消費的・受け身の活用」によって、創造的な思考を働かせる機会が減っているのではないか、という部分を危惧しています。
「ICTたいむ」では、友達と会話し、協力し、創作的な活動を行います。
ICTじゃなくてもできること
というご意見をいただくこともありますが、
「今の子供の生活実態」
に対応し、未来を見据えた取り組みとして、これからも改善しながら続けていく予定です。
※「ICTたいむ」に関するお問い合わせは、
まで。