教育ICTデザイナー  田中康平のブログ

教育ICT環境デザイン、ICT支援員、幼児教育とICT、など

「夏のロード」全てはチャンスの連鎖から

「夏のロード」がほぼ確定しました。

今後の予定よりピックアップ

・7月25日 「つるみね保育園」へ幼稚園の先生方と視察

・7月29日 (財)学習ソフトウェア情報研究センター(学情研)
      「情報教育セミナー2014」参加

      「学習デジタル教材コンクール表彰式文部科学大臣賞(団体)の参観
       ※つるみね保育園の杉本園長先生のお供役兼務

・8月4日  「第3回 教育情報化カンファレンスinおおいた」ワークショップ担当

・8月上旬 某企業幹部向け「教育の情報化にけおるコンサルタント養成講習」

・8月上旬 幼稚園でのICTタイム「1学期の指導の省察

・8月21日 某市教育委員会主催教員研修(300名対象)で講演

・8月28日 都内某所で講演(後に本になるかもしれないそうです)

・8月30日 JNK4設立10周年記念 夏の合宿研究会 サマーキャンプin北海道
       ナイトセッション講師

他にも、今後の実践の種蒔きや、受託業務等々、びっしりと埋まってきました。

昨年の今は「サラリーマン」でした。

起業1年目。

この夏の状況は想像以上です。

どれも振り返ってみると

「これまでの言動」

「支えられている人脈」

「それらを見てくださった方からのお声がけ」

によるものです。

本当に有り難いことです。感謝しています。

1年後、3年後、5年後、10年後の

「自分なりの未来予想」

を描きながら進んできました。

未来から逆算しながら次の進路を選びつつ

そこから見える目の前の事を

できる限りのチカラで取り組んできました。

その結果、

予想を超える所で、速さで

布石が繋がり、人が繋がり、時が繋がり、

チャンスが連鎖していくのを実感しています。

まだまだ、踏み出し始めたばかりの事だらけで、

各々が自立したカタチを成すのはこれからですが、

今の勢いのまま

1つ1つ結末を付けて

「よりよい次へ」

繋げていきたいと思います。

熱い夏になりそうです。

ICT利活用教育に係る公開授業の視点・論点

7月6日〜8日

佐賀県の県立学校及び一部の小中学校 56校の公開授業を含む

佐賀県 平成26年度 第1回 先進的ICT利活用教育推進事業に係る成果発表会

が開催されます。

どなたでも参加、参観できます。

全国の教育委員会関係者や教育関係企業の方々も多数来佐されると聞いています。

このような公開授業は、佐賀県に限らず今後各地で開催されると思います。

その際の視点・論点を私なりにまとめてみました。

参考にしていただけたらと思います。

まずは、学校内の環境について

佐賀県立高校・普通教室のICT環境」

 ・電子黒板(B&Sメディア製 ※韓国 液晶型)×1台

 ・学習者用パソコン(富士通製 ※Win8Pro デジタル教材含む)×40台(全生徒)

 ・学校内サーバ(ユーザー管理、ファイルサーバ)

 ・無線LANアクセスポイント×2台

 ・授業支援システム(SkyMENU、XSync)

 ・充電設備 無し

 ・ICTサポーター(支援員)学校に1名

 です。

【視点1】

「学習目標」

 ICT環境は大幅に変化しています。

 学習指導要領は現行のままです。

 当然、学習目標自体は変わらない。

 なので、

 いきなり「21世紀型スキル」「課題解決型」「アクティブラーニング」

 などを求めることはありません。

 そこを取り違えて授業を見てしまうと、

 授業者と参観者のストーリーのズレに違和感を覚えることに繋がります。

 「指導要領が変わらない=学習目標も変わらない」

 「本時の学習目標」

 この点は、授業参観の前に、しっかり確認してください。

【視点2】

「授業デザイン(設計)、授業進行の変化」

 従来の一斉型授業からの変化があるか?

 導入ー展開ーまとめ の時間配分の変化は?

 ※レディネスチェックや、教材提示等におけるICT活用による時間配分の変化など

 学習目標は変わらなくとも、授業全体の流れに変化が生まれているかもしれません。

 先生方の授業デザインや教材研究が進む中で、

 効果的だと思われる手法に挑戦される先生が増えているそうです。

 導入に何分?

 展開に何分?

 まとめに何分?

 時間配分を測定し、以前と比較した場合の変化などを質疑の場で確認すると如何でしょうか?

【視点3】

「ICTツールの活用」

 ・学習者用パソコンの起動〜Winログオン=AD認証〜起動終了

  全台起動終了までに係る時間は? 

  通信不可、起動不良の発生とその対応

 ・電子黒板の活用

  最後列の生徒目線での画面内容と高さの確認

  提示資料のフォンとサイズ、色、コントラストは適切か?

  板書との併用具合

 ・活用されやすい環境デザインが実現されているか?

  授業支援システム/学習者用端末/電子黒板の操作感

  机上の配置(教科書、ノート、端末)

 

【論点1】

 「どのように授業へ貢献しているか」

 ・ICTツールがあった方がよい授業だったか?

 ・ICTツールがない方がよい授業だったか?

 その考察ポイントはどこか?

【論点2】

 活用の課題

 ・課題点のチェック(授業者の活用、生徒の活用、その他)

 ・解決策は?

 ・学校現場で解決可能な課題か?

【論点3】

 整備の課題

 ・整備の目的は明確か?(学力向上/21世紀型スキルの育成/情報活用能力/その他)

 ・目的に沿った活用に至っているか?

 ・費用対効果

 

佐賀県立学校がICT利活用教育を推進した経緯や投じた予算については、

1人1台の情報端末は必要か?〜佐賀県の事例から〜/田中康平の<教育現場レポート> | ICT教育ニュース

にてレポートしています。

 

この機会に、視点・論点を整理し、

今後の教育ICT環境整備等に有効な施策や提案に繋がっていくことを期待しています。

次世代型教育ICT環境整備事業計画モデルプログラム

「次世代型教育ICT環境整備事業計画モデルプログラム」

こうして文字で見ると長い名前ですね。(笑)

どこか削ろうと試みましたが、削るところは無い。

との結論に達しましたので、このまま行きます。

これは、何かと言いますと、

今後のICT導入に際して、教育委員会や教員、その他関係者が事業計画を立案する際の指針となるモノです。

ここ数週間でまとめ、Ver1.0が完成しました。

弊社(私)のオリジナルです。

数週間のまとめの裏には、十数年の蓄積があることも添えておきます。

さて、

次世代型教育ICT環境?とは

1to1の情報端末、電子黒板、デジタル教科書、反転、協働、21世紀型、、、など、

「これからの子どもたちに必要か?」

「効果的に活用する為にはどうしたら良いか?」

という視点で検討すべきICT環境を指します。

これ迄の事業計画は、予算管理及び入札担当部署が主導(というか、ほぼここだけ)して立案してきました。

予算獲得後は、入札執行まで従来の流れ・手続きに沿って粛々と進むだけ。

そのような中で「次世代型ICT環境」を整備する事には限界があります。

なぜなら、「最も肝心な部分」がスッポリ抜け落ちているからです。

「子ども」と「授業」です。

本来、その為に環境を整えるべきですが、

環境を整える事が目的となり、

一番大切な所が置き去りにされているケースがとても多いのです。

今年度、タブレット型情報端末の導入に代表される「次世代型ICT環境整備」を行う自治体は増えました。

※参考情報:教育家庭新聞社調査(2014年5月)

来年度以降の導入を検討し始めた自治体も増加しています。

これ迄の手法で計画し、実行していては

「導入したが、使われない」

の繰り返しです。

それは、絶対にいけません。

PC教室と違い、普通教室での活用をメインにしている次世代型環境では、

導入時の善し悪しが、その後数年間ずーっと授業に影響し続けます。

課題を分析しようとしても、

往々にして、担当者の異動により責任の所在は不明になります。

関係企業は、「ビジネスチャンス!」に惑わされ、

売りたいモノを提案してしまいます。

もう繰り返すべき時代ではないのです。

今こそ、「次世代型教育ICT環境整備事業計画」の立案、実行方法を問い直し、

しっかりと活用し続ける事ができる環境を、

「子どもたち」「授業」

から逆算して、導入して欲しいと願います。

 

モデルプログラムの一部を公表します。

「モデルプログラムの構成」

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「ICTを含む学習環境整備計画の転換」

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これが、基本的な進め方です。

「明確なゴール」からの逆算へ、発想を転換してみませんか?

そして、検討委員会などの体制づくりも

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このような逆ピラミッド型で進めては如何でしょか?

その他、評価シート等の資料も含んでいます。

※制作:教育ICTデザイン - ICT活用スクールNELS と 教育ICTデザイン NEL&M

 

このタイミングで転換出来なければ、負の遺産になりかねません。

「これ迄と違う」=チャンス!

と、ポジティブに捉え、

普通教室で活用するという事の意味、

整備の在り方を問い直してみませんか?

読書とアプリ

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読書が素晴らしいのは、目に入る情報量が思考や想像(空想)の邪魔をしない適度に少ないものだからだ。

ゆえに集中し、没頭できる。

一方、ゲームなど、情報量が多く刺激的なメディアに没頭するのは、思考や想像(空想)が続いているのではなく、射幸心により離れられなくなっているだけである場合が多い。

そう考えると、パチンコ台の前に数時間座り続けることや、RPGを何度もクリアすることが理解できる気がする。

最近、子供向けの情報端末や知育・学習系アプリが増えてきているが、保護者が与えるアプリを選択する場合、この点に注意しなければならないだろう。

誰だって、

我が子が大人になった時に、

「自分らしく能動的に活動し、人生を豊かに生きて行って欲しい」

と願うと思う。(稀に、相反する事件を知るたびに、心が張り裂けそうになる)


子どもの頃から、射幸心による動機付けで学習を継続する習慣を身につけて良いのだろうか?

いや、違うはずだ。

「誰かに伝えたい」

「表現したい」

「自分を知ってほしい」

「相手を理解したい」

そのために、学び続てほしい

と心から願う。

悔いが無いように、生活する。

ブログのエントリー先を「誠ブログ」に拡大して1週間が経ちました。

やっぱり、IT/ビジネス系Webメディア大手は違いますね。(笑)

アクセス数は、これまでのおよそ5倍。

教育関係者に限らず、多くの方に読んでいただけているようで、感謝です。

ニッチな分野だと思っていた「教育ICT」も、最近では一般紙やTVニュースで取り上げられることも増え、世間の関心が高まっていることを実感しています。

 

こちらのブログでは、教育ICTデザイナーとして活動する中で感じたことに加え、プライベートな想いなども綴っていこうと考えています。

これからも、よろしくお願いいたします。

 

さて今回は、

「悔いが無いように、生活する。」

今日は、久しぶりに元同僚の娘さんが遊びにきてくれました。

元同僚の彼と別れてから、6年が過ぎました。

娘さんも大きくなり、すっかりお姉さんに。私の娘と仲良く遊んでくれます。

私は25歳でこの業界に入りました。

彼は半年ほど先輩で、同い年のSE。

私は、ICTに疎い教材営業の担当でした。

教材営業とはいえ、学校に行くと先生からICTのことを常に聞かれる日々。

当時はミレニアムプロジェクトによる校内LAN整備に突入しはじめた時期。

PC単体だけでなく、ネットワークのことなど、知らないことだらけ。

「1日1個、新しいことを覚えよう」

と毎晩、辞書やインターネットで調べていました。

それでも分からないことについて、丁寧に教えてくれたのが「彼」でした。

その彼とは、32歳の時に、本当に、突然別れることになりました。

全く予想だにしない出来事。

未だに忘れることはできません。

当時の感情や情景も、おそらく生涯忘れることは無いでしょう。

残された方々の姿、そして当時の会社の対応など。

そこからです。

今後の進路や人生について考えを巡らせるようになったのは。

とはいえ、すぐに自分が進むべき道が見つかるわけではありません。

しばらくの間は、喪失感に苛まれながら、漫然と仕事をする日々が続きました。

失敗も増え、周囲に迷惑を掛けたこともあります。

「自分に出来ることは、何なのか?」

「自分がやりたいことは、何なのか?」

「どうすれば、今を変えられるのか?」

と考えながら、なんとか毎日をやり過ごしていました。

それから数年が過ぎる中、おぼろげに進路の輪郭が見えてきました。

そこからは、少しずつ情報を集め、計画を練り、周辺環境を整えていきました。

そうして昨年、38歳で起業しました。

今でも、毎日彼に「おはよう」「おやすみ」と声をかけます。

もしここに存在していたなら、一緒に起業しただろうか?

もっと、佐賀の教育ICTは良くなっていただろうか?

と考えることがあります。

6年が過ぎました。

自分の進路が定まり、人生を賭ける仕事が見つかりました。

「明日のことはわからない」

と、身をもって教えてくれたのは、「彼」でした。

これから先は、とにかく、

悔いがないように、生活する。

心の底から感謝しています。

而立から不惑へ

「而立から不惑へ」

孔子論語でも特に有名一節

子曰、吾十有五而志乎學、三十而立、四十而不惑、五十而知天命、六十而耳順、七十而從心所欲、不踰矩、

「子(し)曰(い)はく、「吾(われ)十有(いう)五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑(まど)はず。五十にして天命を知る。六十にして耳順(したが)ふ。七十にして心の欲する所に従へども、矩(のり)を踰(こ)えず」

 

この一年間、頭に浮かべながら過ごしてきました。

 

自分史を振り返ってみると、

 

「15歳」1990年

普通の中学3年生。受験して地元の高校へ進学。普通の高校生になります。

因に、進学先は2007年夏の甲子園でミラクル優勝した佐賀北高校です。

芸術コースもあり、世界で活躍する人材を排出しています。※母校の宣伝でした

私は帰宅部。バンド活動に明け暮れる日々。

学問らしい事は殆どせず、もっぱら社会勉強に邁進した時代です。

文化祭では「かき氷」や「古着店」を出店し、商売していました。

今思うと、原点はこの頃にあった気がします。

純粋に動き、仲間を集め、カタチを成す為に試行錯誤していました。

 

「30歳」2005年

会社員時代

既に結婚し、子どもを授かり、家庭を築いています。

仕事では、小中高校のPC教室の整備や、新築/増築学校案件を担当してました。

 

32歳で同僚の死という忘れられぬ出来事があり、

これを機に今後の人生について悩み、考え、自分の中の志を探す日々が始まります。

 

志が明確になり、覚悟と進路を決めたのが昨年の今日(6月4日)38歳の時です。

その後、10月に退職し、11月から現職に。

この一年は、自分史の中でも心から充実した日々を過ごす事が出来ています。

とは言っても、楽しい事ばかりでは在りません。

思い通りに進まない事ばかり。

それでも、楽しいと感じられるのは、

「実現したい未来」

をはっきりと描けているからだと思います。

 

今日で39歳。

不惑」まであと1年!

 

それ迄に、個人も会社もどれほど成長できるか?

基礎を築き、発展させる為の大切な1年。

様々な支えやご指導に感謝しながら、更に邁進していきます。

 

支えてくれる家族

様々なアドバイスをくださる先輩経営者の方々

いつも快くご指導くださる多くの先生方

多くの事を教えてくれる子どもたち

全ての方々に感謝です。

 

9教授事象×ICT×(反転型)

「9教授事象×ICT×(反転型)」

全小学校で反転型授業を取り入れた自治体

公開授業にお邪魔してきました。

旧知の先生も多く、世間話に花を咲かせながら授業参観

動画コンテンツを家庭で視聴し

ワークシートやe-Learningで予習

そこから本時の授業に望みます。

昨日ブログにアップした、

ガニェの9教授事象×ICTを元に

授業の流れに着目してみました。

 

驚いたのは、導入の短さ。

わずか3分で終了!

LMSにより、レジネスの把握は簡易に短時間で済んだそうです。

加えて、本時で扱う「新しい事項の提示」まで導入で終わらせています。

これは、

動画視聴=家庭学習とLMSの成せる部分でしょう。

 

その後、展開に移ります。

課題に対して、グループでの恊働

その後、全体での恊働

30分、しっかり時間を使います。

まとめは12分程度。

昨日の図を改めると、こういうカタチでしょうか

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客観的に見ても驚きます。

授業デザインとしては、ICTによる効率化と深化を期待したいところです。

 

しかし、、、

 

違和感を感じました。

恊働の時間はしっかり確保出来ました。

発問にも問題は見られません。

授業者はファシリテーションに徹しています。

決して授業力が低いとは思えない、よい流れです。

なぜか議論が活性化しないのです。

 

公開授業という環境で緊張している?

いいえ、ここは実証校。子どもたちは4年生の頃から公開慣れしています。

思春期特有の空気?

休み時間の活動を見る限り、そうとは思えません。

 

なぜでしょうか。

 

個別と恊働を行き交う複雑な思考と活発な活動が見えてきません。

なにか、発露できない雰囲気。

個で思考して事足りているような面持ち。

その原因はどこにあるのか?

 

動画コンテンツの内容はどうだったのか?

教科書に沿った内容。

本時の課題に対する考え方や解を導く流れを把握する内容です。

その上で、授業に望む。

 

想像するに、、、

子どもたちにとって、恊働してまで解決したくなるほどの課題で無くなってしまっていたのでは?

 

そう思うと、納得出来る気がします。

わざわざ話し合わなくても、答えはだいたい分かっている。

皆、同じ動画を見て家庭学習を終えて臨んでいるので、考え方の違いが少ない。

あえて違う答え、違う考えを出す方が難しそう。

まとめの発表で「何か意見や考えはありませんか?」

との問いに対する低調な反応がその事を物語っているように思えてなりません。

「答えを見いだした、発見した時の喜び」

そういう、「熱」みたいなものが感じられない気がしたのは私だけでしょうか。

 

反転型学習を通して

「問題解決能力の育成」

を主題に掲げるのであれば

授業デザインの中で

「動画コンテンツの構成」

ここが授業の流れを決めてしまうように見えました。

 

展開時間が確保出来る事は、大きなメリットだと思います。

その中で

「思考と認知の深まりを楽しむ授業」=「活発な恊働」

に持っていくには

「教材研究」「授業デザイン」

そしてなにより

「授業力」

これが問われるのだと

改めて感じた一日でした。

 

もう1つ

「教材研究」「授業デザイン」

の時間確保はただでさえ難しいので

足し算だけではなく

トレードオフでの事業全体のマネジメント

学校経営を期待したいところです。