教育ICTデザイナー  田中康平のブログ

教育ICT環境デザイン、ICT支援員、幼児教育とICT、など

さあ、どこへ向かうのか?

「さあ、どこへ向かうのか?」

 

昨日は、大分市にある (財)ハイパーネットワーク社会研究所 主催の勉強会に
講師としてお招きいただき、
「教育ICTとICT支援員とこれから」と題して、お話させていただきました。ありがとうございました。

先生、ICT支援員、研究者、教育委員会、企業、、、
参加された方々の所属は様々
共通語は「教育ICT」です。
 
タブレット端末を活用した授業例(小、中、高)
・目指したい好事例
・課題と解決策
・ICT支援員の業務と本音
・一人一台環境について
 想定される課題と解決策
 教育行政に生じ得る課題
・見据えておくべき未来
・一人一台の実現プラン
 
こういう内容で1時間30分
質疑はその都度受けながら
そこからのディスカッションも自然発生し
侃々諤々の展開も混じりつつ
あっという間に時間が過ぎていきました。
 
伝えたかった事は
「なぜ、一人一台なのか?」
「なにをやりたいのか?」
中長期的な視野で整理する。
 
「なぜうまく行かないのか?」
技術的理解をもってデザインする。
授業や教員、学校の実情を理解してデザインする。
 
「未知の社会に飛び込むチカラ」
「自分の足で立ち、駆け回るチカラ」
未来を見据え、育成方法を体系的に整理し、段階的に実践する。
 
子どもたちが自律して躍動できるように、知恵と勇気で「志事」していきましょう!
という事です。
 
課題は多い。
一つ一つ、その背景を紐解いていくと解決策は見つかります。
策が見つかると、実行しなければ意味が無いのですが、
現実はここが一番難しい。
既得権益によるしがらみ
制度疲労により硬直化した組織
教員、学校の文化
家庭、地域等社会の諸問題
様々な壁が立ちはだかります。
 
これ等の一部分だけを見て、解決策を練っても長続きしません。
個々を理解しつつ、俯瞰することが必要です。
 
机上の空論
打ち上げ花火
活用がつづかない
 
そのような現場は身の回りにも存在するのではないでしょうか?
 
企業や行政の感覚で捉えると、
ICT=合理化、共通化 
と捉え、システム設計を考えがちです。
入学者選抜がある大学での講義では可能かもしれませんが、
多様な環境で育つ子どもたちが日々変化していく公立の小中学校の授業で活用するためには、真逆の発想も必要です。
 
「教科で活用する」
から離れて
「学習者が主体的に活用する」
そういう発想も必要です。
 
タブレット端末整備に代表される教育ICTに関する事業の行く先を
目的地をしっかりと見定め
本当にそこへたどり着く為に必要な事、不要な事を整理して
事業全体をデザインする。
受け売りの言葉ではなく、咀嚼された言葉でビジョンを示し
各論をまとめ、実行してほしいと願います。
 
その後の懇親の席では、
「授業とは?」「学級とは?」
といった議論も深まりました。
「学校全体の課題からすると ICT のウェイトは小さいが、子どもたちの未来を考えると、取り入れていきたい」
「同じ学級でも日々状況は変化する。そこに対応しながら授業は進む。共通教材があっても、そのまま活用する事は難しい」
「理解度をデータで収集しグラフ化するツールもあり、これこそICTの利点だと言われるが、優れた教師はそれ以上の情報を把握している」
「使いやすいICT環境であれば、教師個人の中で十分に効率化がはかれる」
など、現場を理解するためには有意義な場となりました。
 
このような事を頭に置きつつ、読んでいただきたいブログを2つ紹介します。

中学校にタブレットが導入されるとどんな授業になるのか体験してきた

つれづれなるままに…: 小学生にVTRによる授業が難しい理由

目的と、整備された環境はマッチしているか?

日々活用し続けていくためにはどうすれば良いか?

さあ、どこへ向かうのでしょうか?

 

 

人口減少社会と教育ICT

「人口減少社会と教育ICT」

国立教育政策研究所の平成25年度研究成果として

「人口減少社会における学校制度の設計と教育形態の開発のための総合的研究」

に関する研究報告書

というのが公表されています。※上記リンクより参照できます。

 

今後の人口推移については、ご想像の通り、減少の一途です。

その中でも、子どもたちの減少度合いは大きいです。

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2015年の人口ピラミッド

総人口    1億2659万7千人 

内0〜14歳人口:1582万7千人(12.5%)※出生中位

65歳以上の人口:3395万2千人(26.8%)

 

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こちらは、20年後

2035年の人口ピラミッド

総人口    1億1212万4千人

        2015年比:△1447万3千人

内0〜14歳人口:1128万7千人(人口割合10.1%)※出生中位

      2015年比:△454万人     (人口割合△2.4%)

65歳以上の人口:3740万7千人(人口割合33.4%)

      2015年比:+345万5千人(人口割合+6.6%)

 

人口は減少

東京都のH26年3月の人口が、1329万6千人です。

それより多くの人が居なくなる計算です。

 

0〜14歳人口も減少

私が住む佐賀県の、およそ5.5倍が居なくなります。

 

当然、学校は今の規模では維持出来ません。

統廃合と通学校区の再編・拡大は必至。

 

遠くなった通学距離と時間を短縮するのは

Mobility モビリティ(移動性、機動性)の向上でしょう。

スクールバス等の交通網、交通機関の整備もあるでしょうが、

ICTによる機動性の向上も必要になると想定されます。

 

広域になった学区では

都心部の「本部校」と遠方の「衛星校」によって構成され

ICTを活用した「遠隔授業」「オンデマンド授業」が増えると思われます。

授業設計も変わらざる得ないでしょう。

タブレット以上の端末が現れ、

あらゆるモノが通信し合う環境になっている。

遠くの友を近くに感じる。

未知の事はデータベースを参照する。

効率よく学び、答えを導いてく。

そういう方向へ進むのかもしれません。

 

ここで改めて問い直されるのは

「学校」という存在

 

「学校へ行く」ことの意義ではないでしょうか?

 

いくらICTが進化しても、使うのは人間です。

社会を構成するのも人間です。

「人と人の関わりの中で成り立つ社会」を維持してくには、

どういう「チカラ」を伸ばすのか?

 

幼少の頃から人と関わり

所属感を高め、周囲に貢献し

認められる喜びを実感し

自律し、

自信を持ち他者と繋がり、能動的に活動する

そういうチカラを育み、身につることが大切になることでしょう。

 

と、この事は海外で既に取り組まれています。

国際化社会の生存競争にも立ち向かわなければならないという

そのような厳しい社会を生き抜いていかなければならないのです。

 

 

人口ピラミッド

もう、ピラミッドの体をなしていません。 

まるで独楽の様ですね。

細い軸でまわす大きな独楽

2015年に6歳〜18歳だった子どもたちは

2035年に26歳〜38歳と一番の働き盛りです。

この層も、独楽の軸です。

支えるのは、この国と大先輩方

 

 

社会を維持していくためには、どうすれば良いのか?

 

ただでさえ、学力の二極化が進み、

経済力と学力の相関関係が指摘される中、

このまま、階層の固定化を続ける訳には行きません。

あらゆる層、あらゆる環境に関わらず

自身の能力や特性を存分に発揮し

3人〜5人分のチカラでもって、社会を支えなければなりません。

 

私は仕事柄、教育現場により良いICT環境を整備する事と、

子どもたちのICTを活用する、情報を活用するチカラの育成に取り組んでいます。

 

未来の事を考えるときに想うのは、

手遊びから始まり、歌、体あそび、創作、自然遊び

読み、書き、計算、キーボード

基礎学力の定着

料理や裁縫、掃除洗濯などの家事

音楽、書画、造形

幼保〜小中高と発達段階に応じた、これまでの学びをより高め

他者と関わり、認められ、貢献し、社会性と市民性を育み

さらに

先進のICT技術と親しみ、流暢さを身につけ

5感をつかって人生を豊かに生きて行く器を拡げていくこと=人間力を大きくすることを大切にしたい

という事です。

 

子どもたちがこの社会の変化に直面したときに、

自分の足で立ち

駆け回り、躍動する姿をイメージして

日々取り組みたいと考えています。

文部科学省 学びのイノベーション事業実証研究報告書を読んで(所感)

平成26年4月11日

文部科学省が平成23年度〜平成25年度の3カ年にわたり実証研究を進めてきた

学びのイノベーション事業に関する

学びのイノベーション事業実証研究報告書

が公表されました。

 

この週末

全文ではありませんが

関わりを持っている分野

1、2、6、7、8章を中心に

読ませていただきました。

フューチャースクール事業から数えると4年間

双方の事業にとり組まれた実証校の先生方

協議会関係者の方

学識経験者、研究者の方

関係企業の方

そしてICT支援員の方々

多くの方々の熱意と努力の積み重ねの上で完遂された事業であり

その集大成的報告書の重みを感じずにはいられません。

このような資料が公表され、目を通すことができ、感謝です。

 

この4年、間接的に関わりながら各地の様子を見聞きしてきました。

実際の授業を目にする事も幾度か有り、その度に発見があり、

私なりに、多いに学ばせていただきました。

 

本事業に端を発し、自治体独自で事業推進したケースもありました。

私自身、ICT支援の現場で関わる事も多く、

この4年間で、教育の情報化の在り方は大きく変わったことを肌で感じてきました。

 

最近は、授業の中で、電子黒板や学習者用端末、デジタル教科書(多くの場合は指導者用です)が活用されるシーンも珍しくなくなり、

先生方からは、操作研修よりも、効果的な活用事例を求められる事が増えてきています。

本報告書には、教科、学年、校種別の効果的な指導法や課題についても網羅的に記され、今後の指針として大変参考になる内容になっています。

指導案検討や授業設計の考察、ICT支援の現場でも、多いに活用されるものだと想像しています。

 

私の現在の仕事である「教育ICTデザイナー」としての視点では、

全体設計を目指す以上、課題として提言されている内容には、その解決策を探り、提示してく必要があり、ここを考えることが、本報告書のもう一つの読み方となりました。

特に、「第8章 今後の推進方策」に書かれている今後の課題については、深刻に受け止めています。

なぜ、同様の課題に直面し続けているのか?

 

ある方は

「教育の情報化は、教育現場が欲した事を発端としたというよりも、産業界の要請を外発動機として事業設計され推進されてきた部分は否めない」

と仰られました。

キッカケとしてそうであっても、改善を繰り返すことで活用されやすく、日々の助けとなる環境に進化できれば、結果的には望ましい整備となるはずです。

しかしながら、本事業に限らず、教育情報化事業の多くの現場では同様の課題が山積し続けています。

なぜなのでしょうか?

いったい誰のための整備なのでしょうか?

今後、学習者用端末やデジタル教科書を中心とした、一人一台環境の整備を推進するのであれば、

関係者はその解決策を探る為に、立場を超えて議論すべきです。

 

なぜ、教員のICT活用指導力が向上しないのか?

向上させる事も必要だとは思いますが、

「向上せずとも活用出来る教育ICT環境」を考えるべきではないのでしょうか?

 

今後、さらなる情報教育の充実を求められています。

社会の変化、とくに情報化の進化スピードは想像を超えている感もあります。

また、少子高齢化、人口減少、世帯数減少が見えている日本では

今の子どもたちが15年〜20年後の未来に、

自らの職を得て、結婚し、子どもを授かり、家族を養うために、

社会を生き抜いていくためには、情報活用能力が欠かせない武器となることは、

「21世紀型能力」「キー・コンピテンシー」というキーワードで語られ、提言されている通りです。

足下を見たときに

小中学校の9年間で、全ての児童生徒が、発達段階に応じた情報教育を受け、情報活用能力を身につける事が出来ているでしょうか?

担任教諭の熱意、意識に左右されている現状を知り、

情報教育に取り組んでいる家庭が、はたしてどの程度存在しているのでしょうか?

 

この事業がスタートした4年前を振り返ってみました。

平成21年(2009年)夏、iPadはこの世に存在しませんでした。

iPadは2010年1月に発表されました。

ソフトバンク孫正義社長は「光の道構想」を掲げ、当時の政府へIT立国を提言していました。

DiTT デジタル教科書教材協議会 が発足したのは、2010年5月です。

子どもたちに一人一台のタブレット端末を!

デジタル教科書を実現して、教育革命を!

のようなスローガンとビジョンに満ちた時代だったと記憶しています。

求めたのは誰だったのか?時代だったのか?

現場の先生や子どもたちではなかった、のではないでしょうか?

 

もう、繰り返す猶予も、財政的余裕もありません。

子どもたちは日々成長していきます。

より良い学びに繋げていくために

この報告書が示す事柄を丁寧に理解し

現場目線で、活用し続けられる教育情報化事業をデザインしていきたいと

改めて再確認しています。

 

ICT活用スクール体験 3

「ICT活用スクール 3」

 

今日は、5歳の女の子

5月11日のワークショップの前に

一足早く

ピッケのつくるえほん

を使って

自分だけの絵本作りに挑戦です

 

スクールの先生と1対1

楽しい絵本が出来るかな

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 子どもの方がはやい(汗)

ソフトウエアキーボードをつかって

お話や台詞も入力していきます

絵本が出来たら印刷へ 

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 iPadからAirPrintで、すぐにプリントアウトされます

出てきた用紙を

ハサミでチョキチョキ

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 山おり、谷おり、ホチキスで綴じて、、、

読みながら、出来栄えを確認してました

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 完成した絵本は、3歳のいとこへプレゼントするそうです(笑)

 

こんなワークショップを

5月11日(日曜日)

佐賀市立図書館の多目的ホールで開催します

参加無料です

iPadは20台用意していますが、先着順です

お申込みはお早めに!

 

皆様のご参加をお待ちしています

 

幼稚園での実践

「幼稚園での実践」

 

本日は、今年で創立50周年を迎える地元の幼稚園にお邪魔してきました

 

小さな幼稚園として

一人一人をみつめ

心の優しく育つ保育を

コツコツと続けてこられた園です

 

その園で、我々の実践をスタートします

 

どういう反応か

どういう成長か

どういう学びか

 

実践のテーマは

「引き出す」

 

与えすぎない

やらせすぎない

手を出しすぎない

 

子どもたちの自発的な活用やアイデアを引き出して

伸ばしていけたらと考えています

 

近況は、ブログやHPで報告させていただきます

 

5月から動きに、ご期待ください(笑)

 

 

ICT活用スクール体験 2

「ICT活用スクール 2」
今日は、もうすぐ小学校に入学する女の子が遊びにきてくれました

まずは、スクールの近所の畑で写真をパチパチ

これをパズルにして

操作体験のスタートです

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パズルにすると分かりにく草花の写真も

2人で協力すれば

あっという間に完成です

協力しながら課題に取り組むことも

このスクールでは大切にしたいポイントです

 

2人の写真もパズルにして
お互いの顔や体のピースを探して、はめ込みました

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その後は、算数のお話になって

繰り上がりの足し算がむずかしいということでしたので

アプリではなく、木製教具を活用して

指も使って学習します

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楽しく学ぶ

アナログもデジタルもミックスして活用する

そういう流れも体感してもらいました

無料体験受付中です

どうぞ、お気軽にお問い合わせください

ICT活用スクール体験

「ICT活用スクール体験」
この日は、3歳の男の子でした

 

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まずは、パズルでiPadの操作に慣れてもらいながら遊びます

初めての操作でも、子どもはスイスイ

全部のパズルが完成すると

「やった!やった!」って喜んでくれます(笑)

次は、絵合わせアプリ

神経衰弱の要領で、カードをめくっていきます

全部のカードを合わせられたら

「できた〜!やった〜!」

ママとハイタッチ!です(笑)

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その後は、5歳のお姉さんと一緒に

つくってあそぼう:ピッケのおうち

で利用できる

ピッケのパペクラの色を塗って

ハサミで切って、作って、遊びます

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50分間

愉しみながら

学んでもらいました

「無料体験」

お気軽にお越し下さい

 

5月11日(日)佐賀市立図書館で開催する

「ピッケのつくるえほん ワークショップ in さが」

にも、ぜひお越し下さい

こちらも無料です

ただし、席に限りがありますので

お早めにお申込みください