改善検討
H27年度より「佐賀県ICT利活用教育推進に関する事業改善検討委員会」の委員として会議に出席しています。
その中で、極力意見や提言を出す様に努めています。
今日(1/30)は、H28年度の第3回改善検討委員会に参加してきました。
議事概要は後日公開されると思いますが、所感を残しておきます。
第3回の議題は、大きく分けて2つ
・研修等の実施状況と参加した教員の意見についての報告
・効果の検証に関すること
アンケート調査の結果などから効果についても示されました。
改善検討の場ですので、結果に潜む課題(活用されていないのであれば、その理由や原因となる部分など)に焦点を当て、その改善策について知見を持ち寄り協議したいところですが、やはり遅々として進まないもどかしさを感じたというのが、今回の率直な感想です。
人間には「自分に都合の良い様に思い込みたい性分」があると思っています。
自分もそうです。嫌なことからは目を背けたくなります。
しかし、思い込みは、時として判断を誤らせます。
自己批判を恐れず、絶えず検証、改善することができてこそ「よりよい姿」に近づくことができるのだとすれば、
今の佐賀県のICT利活用教育推進事業は、私に「見誤りそうな雰囲気」を感じさせています。
「研修関連」
研修の目的があり、それがどの程度、どの様に達成されているのかという情報がなく、実施報告にとどまってしまう。
研修を実施したことのみが結果として示されるのであれば、効果的な研修のための改善点など見出す術がありません。
改善検討という観点での協議が進まなかった様に思います。
また、参加した教員の一部の意見のみが示され、参加者全体としての評価やその傾向を読み取ることができなかったのは残念でした。
「効果の検証」
佐賀県立高校の教職員向けアンケート(1447名)
佐賀県立高校の生徒向けアンケート(17875名)
その概要と効果検証に関する内容が示されました。
今日の報告資料の元となるアンケート結果について、教科別や場面別のグラフとしてまとめられた資料が、前回の改善検討委員会(第2回 11月1日実施)で配布されています。(紙資料。議事概要は未だ公開されていない様子)
教職員アンケートからは、
生徒の学習場面(個別学習/協働学習)で活用しているかどうかの結果として
「全く行っていない」「ほとんど行っていない」を足して5割を超える(棒グラフで半分以上が「行っていない」となるケース)教科が多いと読み取れます。
にも関わらず今日の報告では、実感した効果として
「関心意欲を高めることができた」
「学習内容に関する知識を身に付け、理解を深めることができた」
という情意的な肯定的意見のみが示されました。
私は、思ったほど活用されていないとも読み取れるアンケート結果と、今日示された効果の関係を掴むことができませんでした。
他の委員の先生からも、
「全体で見てしまうと分からない。学校別に見ると、活用している学校とそうではない学校があることが分かる。高校は校種によって学習活動が異なることも考慮する必要があり、検証には相応の手法と労力が必要ではないか」
との意見も出されました。
私も
「もう少し詳しく考察するためには、アンケート結果のデータを開示してほしい」
と発言させてもらいました。
また
「事業開始から5年以上が経過して、未だこの様な内容であることが大きな課題ではないか」とも指摘させてもらいました。
生徒のアンケートからは、
私が見る限りでは当初の予想ほどには活用されていない実態がうかがい知れる結果だと捉えています。
特に、自宅や部活動での活用では、半数以上の生徒が「その様な活用はなかった」
と回答しています。
しかし、今日の報告では肯定的な意見がクローズアップされ、そのことが反対に恣意的な印象を抱かせてしまう様に感じました。
生徒向けアンケートに答えた17875名は、全員が学習用PCを5万円負担して購入し、学校に持参しています。
そのことと、今日示された効果について納得感が得難いことは、私も含め複数の委員の先生からも指摘されました。
高校生を持つ保護者の方々から私に寄せられる意見も
「活用していない」
「学校に持って行っていない」
「電子辞書の方が使いやすにので追加で購入した」
というものがあり、5万円の負担に納得していない様子が伝わってきます。
保護者の方々や生徒自身に納得感を得てもらうためには、効果検証の方法を再構築していかなければならないこと、おそらく今日出席された改善検討委員の方々の中でも共有できた部分でしょうし、進めなければならない部分だと思います。
しかし、効果検証に時間をかけ、今の環境のまま数年を経過させてしまうことは、変化の早いICTの世界では先進性を失い、時代遅れになってしまうことも危惧されます。
タラレバは好きではありませんが、モデル校の時代(H23-25年度)にしっかりとした検証がなされていたらと悔やまれます。
全体で推進したが故の方向転換の難しさと、自己批判に不慣れな組織文化が横たわり、改善検討も思う様に進んでいるとは言い難い状況。
委員の一人としてできること、その他の立場から働きかけられることなど、柔軟に考えながら前向きに取り組みたいと思います。
とはいえ、現実としては、派手に拳を上げた後それを何処にどう下ろせば良いのか模索する日々がまだまだ続きそうです。