教育ICTデザイナー  田中康平のブログ

教育ICT環境デザイン、ICT支援員、幼児教育とICT、など

安易なタブレット端末導入への警笛

学校のPC教室整備

今年はタブレット化の波が押し寄せ

各地で自治体予算による整備が進んでいます。

その動きに水を差すようですが

あえて「警笛」を鳴らしたいと思います。

話題に上がるのは、1to1の様な大規模整備ではなく、

従来のPC教室整備予算で行うケースが殆どです。

当然、台数は40台前後

集めれば1人1台になり、

グループ活用もできる規模です。

整備内容は、PC教室の端末がタブレット端末に置き換わり

無線LAN環境を追加するというもの。

予算は限られていますから、そう贅沢はできません。

教育委員会側も、導入業者側も

PC教室時代の仕事の延長です。

タブレット端末ですから、

PC教室を飛び出し、普通教室で活用する事をイメージしています。

「普段の授業で活用する」

この事をどれだけ真摯にイメージできたか?

で整備の善し悪しは決まります。

最近

タブレット端末の活用が進まない。どうすればよいか?」

という相談が寄せられます。

ICT環境を聞くと、PC教室時代と何ら変わらない構成。

「活用のポイントを絞らないと難しいですね」

と答えます。

なぜ難しいのか?

PC教室と普通教室の違いを表にしてみました。f:id:tanakou64:20140820175041p:plain

「求められるものが違う」

という事がお分かりいただけるのでは無いでしょうか?

言い換えると、其々のメリット、デメリットが見えてくると思います。

普段の授業で活用する場合、授業進行や思考の妨げになっては本末転倒です。

タブレット端末の活用は、フューチャースクール等の実証研究により、ある程度の知見が蓄積され、報告書なども公開されています。

そこに書かれた事だけを参考にしてはいけません。

現地に行って、実際に活用している先生方、子ども達の本音を聞いてみてください。

普段の授業で活用する場合、「ごまかし」がききません。

「使いやすいもの」だけが残り、後は淘汰されます。

整備に関わる立場によって、様々な目的はあるでしょうが、

今のままでは、活用されない機器やシステムを産み、

今まで以上に批判の対象となる可能性があります。

提案する方は、授業を見に行きましょう。

そして、自分が「授業をする、受ける」立場で考えてみましょう。

整備する教育委員会の方は、先生方の話に耳を傾けましょう。

整備ありきではダメです。

活用ありきで考えてください。

その先に1to1を考えているのなら尚更です。

普通教室・普段の授業の中で活用するという意味合いや重みを受け止めて

教育委員会、導入業者、そして先生、子どもたちが

「よかった」

と思えるカタチを模索してください。

そうしなければ、短期的な目標達成はできても

長期的な発展・繁栄は望めないはずです。

今、焦って導入する必要はないと、私は思います。