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教育ICTデザイナー  田中康平のブログ

教育ICT環境デザイン、ICT支援員、幼児教育とICT、など

H28年度「佐賀県ICT利活用教育推進に関する事業改善検討委員会」から思うこと

H28年度の「佐賀県ICT利活用教育推進に関する事業改善検討委員会」

www.pref.saga.lg.jp

第4回の議事概要が公開されています。

H28年度最後となった会議では、次の様なことを指摘させていただきました。

ーーーーー

「学習用パソコンは、1人1台必ず購入をしなければならない。不満の子供たちは、返却や買わないという選択肢がない。一般のサービスであれば、不満のあるユーザーは、購入しないで済む。学習用パソコンは、1人1台制度的に購入させ

ているので、この2割、3割の不満があることについては、真摯に受け止めて、改善していかなければ、この先の事業展開が厳しいものになる。」

ーーーーー

私自身は、教育の情報化、ICT環境整備は積極的に行うべきという立場です。

しかし、課題から目を背ける様な事業推進には、その時々の立場から改善を求めています。

(一部、私が教育の情報化に否定的だと認識している方もいる様ですので、そうではないと記載しておきます。)

 

配布資料では、「生徒への満足度調査」や教職員の意識調査の結果が報告されています。

生徒の満足度で私が注視したのは、

H26年度入学生(学習用PC購入全県立高校展開1年目、H28年度卒業)の生徒の経年変化です。

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 第4回 佐賀県ICT利活用教育推進に関する事業改善検討委員会 配布資料「資料1」の2ページ目下部より引用)

3年間で「不満」が増加し、「満足・どちらかといえば満足」が減少しています。

本日(5月2日)、地元紙ではこの結果の総論として「8割満足」という見出しが出ていますが、

全県立高校生に制度的(強制的)に購入させる事業としては、

3年間活用した生徒の

11.3%が「不満」

11.4%が「どちらかといえば不満」

と回答していることと、それが経年的に増えたことに着目しなければなりません。

教員の満足度も

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第4回 佐賀県ICT利活用教育推進に関する事業改善検討委員会 配布資料「資料1」3ページ目上部より引用)

否定的な回答が33.4%にもなっていること、

それが2年目より増えていることは大きな課題だと受け止めています。

※この様な調査結果について、再三データ(紙資料のスキャンではなく、分析可能なデータ形式)での提供と開示を求めてきたにも関わらず、佐賀県教育情報化支援室は全く対応しないことを付記しておきます。

 

無謬性(誤りがないということを前提とする)が強く、主体性に乏しい組織が、1人1台の情報端末活用の様な大規模な教育ICT関連事業を実施することは、今回の経験からも大きな課題を生みやすいものだとご理解ください。

今後、教育ICT環境整備を推進したい教育委員会や学校の関係の方は、自己批判を恐れず省察と改善を躊躇しない組織や、そうした小回りが聞く事業規模であるかどうかを改めてご確認ください。

 

この改善検討委員会や、現場の先生方からの情報提供などを通して私なりに整理できたことを3つあげてみます。

・高等学校では、学校により学科や進路が多様であり、全校一律の教育ICT環境整備は、内容によっては非効率的である。
(情報端末の活用方法や場面は、学習活動同様に様々である)

・高校生の多くは、スマートフォン等私物の情報端末を日々活用している。
そもそも、導入を検討している端末は、生徒から見てどの部分がスマホより優位なのか?
スマホなどの活用実態を把握した上で、学習用の情報端末の活用方法等を検討することが求められる。
(学習用の情報端末を活用するのは、文字通り学習者(生徒)自身。その意見に耳を傾けない整備は、課題解決が困難となる。)

LTE回線やクラウドサービスの活用とともに、1人1アカウントの配布と活用について検討する。
(個人メールアドレス、学校ドメインなど管理や活用など。※多くの生徒は、複数アカウントを日常的に活用してる。)

 

今後、高等学校で1人1台の情報端末の整備や活用を考える場合は、上記3つを踏まえつつ

・多様な学科や進路に対応する整備や活用を前提とする
(学校や学科単位でICT環境の検討や整備。授業内外での活用場面の検討。学校への予算分配。など)

・授業や単元のデザインについて再構築を促す様な研修を行う
(課題のデータ配布と提出。共同編集が可能なソフトの活用。情報端末やサービスを活用した単元や授業デザイン研修会の実施 ※活用事例よりも、根本の考え方の共有を促進する。)

・改善が容易な組織体制の構築
(時代の変化に柔軟に対応する。改善点や課題が無いという報告はよしとしない文化を醸成する。)

この様な部分から、整理・検討を進めていただきたい。

整備の前に整理から。

その論点として、他地域の参考になればと思います。