教育ICTデザイナー  田中康平のブログ

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見方・考え方をリセットする

「見方・考え方をリセットする」

教育現場で、電子黒板や学習者用の情報端末の導入・活用が始まったH22年ごろから、6年ほどが経過した。

授業等での活用の様子を写真に撮りためてきたが、その風景は、さほど変わっていないと感じる。

 

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※学習者の目の高さから撮影した上の2枚の写真の間には、3年の月日が流れている

学習者の目の高さからは、提示された教材の全体は見えない。

学習者からどう見えているか、何を提供できているのかに気を配るだけで、改善できるのだが。

 

その間、海外の学校の状況などを知る機会が増えた。

PC等のBYODが当たり前となっている国、コンピュータサイエンスに取り組む国、プログラミングに取り組む国など、
「情報端末などのICTは、学習者のために当たり前に存在する道具」
という前提に立ち、その先でどの様な能力を育むのかという、本来あるべき方向へ進んでいるものと考えられる。
 

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※ブルームのタキソノミー(教育目標分類学)と情報端末の活用を関連させて学習活動を検討することなど、海外のモデル等で触れられていることがある。

 
日本では、ICT環境の整備やその活用が「学校の特色」や「目標」となっている場合がある。
道具の整備・購入、数、機能などが話題として取り上げられる時代は、そろそろ終わってよいのではないだろうか。
 

授業観、学習観を問い直し創造した学校や学科では、情報端末は学習の道具としてごく普通に活用されている。

 

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※学習者が主体的に学ぶための道具として活用されている事例

 

子供達の実態から考えると、学習の道具の一つに情報端末という選択肢を提供するのは自然のことだと思う。
そうした道具を使う学習活動では、何を実現し、何を学び、何を獲得させるのか。
学習者が所有している道具と同等に、学習活動の中で自然とICTが活用されるには、どこに働きかけ、どの様な事を具体化すべきか。
 
ICTの活用が目的化した窮屈そうな授業を見ては(見せられては)、「難しいもの」「大変なこと」としか受け止められず、一般化しない。
 
H22年度の総務省のフューチャースクール事業から6年経過した。
未だに情報端末等の整備が進まなかったり、整備されても活用されない場合がある。
その理由として、ICTへの関心が高くない一般の教員などから
「効果の薄いモノ」
「特別な機能を使いこなすことができる、特別な教員の為の教具」
と認識されていることも要因として考えられる。
 

見方や考え方をリセットし、

「学習者が主体的に学ぶための道具」

として、それを使って何を実現するのかに向かって、純粋であるべきだろう。

 

もう、同じ風景の写真を撮りためないで済む様に。

機器の写真ではなく「学習者の生き生きとした表情」を撮りためたい。