ICT環境デザインに関する雑感
とある小学校で、電子黒板を活用した音楽の授業を拝見。
先生:教科書の○ページを開いてください
そこから
・電子黒板(液晶パネルタイプ)をタッチして、指導者用デジタル教科書を起動
・指導者用デジタル教科書の該当ページを検索して提示
・歌詞を拡大提示するために、電子黒板の拡大機能を活用しようるするも、電子黒板側のソフトウェアが未起動だったので、改めて起動
・拡大提示が終了。
ここまで約3分
・電子黒板に提示されたページの曲を再生。液晶パネル内蔵スピーカーから出力。付属のリモコンで音量調整。
・指導者用デジタル教科書に音源が収録されていない曲を再生させるために、CDをCDラジカセに挿入して再生。
・以降は曲目に応じて、電子黒板とCDラジカセの間を行き来する。
なかなかの手数だ。
ちなみに、黒板を挟んで教室奥側に電子黒板、廊下側にCDラジカセというレイアウト。
ある程度、操作に関して事前準備をされていたことがうかがえる動き。
それでも、黒板を挟んで左右に動かねばならない。
それを、子供たちは目で追っている。
コンテンツや電子黒板上の機能重複は、操作の迷いを生みやすい。
教室内の機器レイアウトに難があるのは明白。
電源コンセントの位置にも左右されている。
配線類も、床を這ったり機器の周囲にぶら下がっていたり。
LANも電気も一緒に転がっている。
管理上も安全上も適切な施工とは言い難い。
PC教室の感覚で施工していると陥ってしまいがちな事例。
(見えないところにケーブル隠しとけ。的な)
常に子供たちが活動する、先生も日常的に活用する「普通教室」という場であることをどこまで考えたのか。
調達時に、設置施工に関しても仕様内容を明確にし、使いやすいレイアウトや事故のない安全な環境を求めていかなければと再確認した。
また、今日の様な授業の場合、例えばiPadに音源が保存されており、教科書の写真を撮影した上で、Keynoteで音源と写真を挿入したスライドを作成しておき、電子黒板にiPadを接続して利用できたならば、もっとスムーズに展開したのではないだろうか。
著作権法上、第35条第1項の条件を満たせば問題ないはずだ。
音源にしてもiTunesで購入しておけば良いだろう。
実際にこれらを実現しようとすると、購入手続きや前例がないことへの説明など細々整理しながら乗り越えるべき事は多い。
しかし、ユーザーにとってそれが望ましい環境であれば、求めていくのが自然なことであり、そうではない整備や供給側の論理が先に立っては、同じ課題の繰り返しになるだろう。
これから先の教育ICT環境デザイン。
その答えは、現場に落ちている。
気づく「目」と、これまでの常識を疑いながら最良を求める姿勢を大切にしたい。