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教育ICTデザイナー  田中康平のブログ

教育ICT環境デザイン、ICT支援員、幼児教育とICT、など

学習者用端末の整備で考えなければならない「二つ」の視点

学習者用端末の整備で考えなければならない「二つ」の視点

昨年後半から年明けに様々な学校へ行き、また関係者と情報交換する中で

教育分野のICT利活用の潮流の変化を感じています。

潮流をどう捉えるかは、それぞれの立ち位置によって違いがあるでしょう。

私が感じるのは、「公立校」という岸辺から見ると上げ潮でもなく、下げ潮でもなく、滞留しつつあるかなと。

その先の沖合を、「私立校」という違う潮が結構な速さで流れ始めているように見えます。

沖合の潮流が本流になるころ、ようやく引かれ潮が岸辺(公立校)に到達するのかもしれません。

 

ここ数年、先進的と喧伝されてきた1to1の公立校の事例を見ると、

「陳腐化を始めているのでは?」と感じることがあります。

ネットワーク環境や端末スペックなどもそうですが、

学習者用端末の活用も、提供者や環境の枠に合わせ、利用者に無理を強いながら推し進めているように見えることがあります。

反面、私立校のそれは、1to1の在り方を利用者に委ねることで、一見チャレンジングな様で、実は合理的な活用に思えます。

公立校が停滞しているように思える原因はなぜか?

と考えた時に

「二つ」の視点にたどり着きました。

 

一つは、「企画から稼働が始まるまでの時間の長さ」です。

大まかに、その長さを示してみると、

1年目:事業立案し予算要求(モデル校)

2年目:当初予算に計上。1年前の計画に沿った調達/工事等の環境整備(モデル校)

3年目:モデル校に準じた内容での全校整備

4年目:全校での本稼働

公立校で1to1の学習者用端末整備を行った事例では、全校稼動まで概ねこの様な時間をかけて整備していました。

計画から4年も経過しています。

デバイスやシステムの進化を考えると、長過ぎます。

そういった事に対して柔軟に対応しながら適応していけば良いのですが、中々そういかないのが公立校の難しいところです。

方や私立校は、トップの判断の元、短期間で整備を終えることが可能です。

クラウドサービスの活用など、時代に合わせた柔軟さも発揮しやすい。

この違いは、その後の活用にも大きく影響してきます。

今後は、私立校の好事例に、公立校が倣うケースが出てくると考えます。

 

もう一つは「整備の目的」です。

例えば、先進性を求め国内でもいち早く推し進めた整備。

だとしても、企画から稼働までの時間の長さを考えると、先進性を確保できているのか?

冷静に見なければなりません。

整備が目的ではないはずです。

学習者用端末を整備する本来の目的は、

「学習者にとって有益なものにする」

この点にあるはずです。

「学習者にとって有益」について関係者間で考える際に、

育みたいチカラ、そのための授業や学習の在り方、ICTも含めた環境、ツール等の活用などを考え、関連付け、俯瞰して、

「自らの言葉として捉えること」

が大切なのではないでしょうか。

この点を整理するためにワークシートなどを用いて、関係者間で話し合ってみるのも良いかもしれません。

事前に、様々な事例や今後の見通しなどのインプットがあると、なお良いでしょう。

先日、ある研究会で活用したワークシートをベースにしたものがこちらです。

 

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考え付く多くのことを出し合い、関連付け、無駄なものは削っていきます。

おそらく1時間や2時間では終わらないでしょう。

何日間か、何週間か、何ヶ月か

ある程度の時間をかけてじっくりと整理し

「自らの言葉」を関係者間で共有できたら

どんな環境にもブレない軸が生まれると考えています。

 

この「二つ」の視点

どう思われますか?

学習者用端末も含めた、より良いICT環境整備が進み、

学習者の活動が豊かなものになっていくことを願っています。