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教育ICTデザイナー  田中康平のブログ

教育ICT環境デザイン、ICT支援員、幼児教育とICT、など

文部科学省 学びのイノベーション事業実証研究報告書を読んで(所感)

教育ICT ICT利活用 教育ICTデザイン

平成26年4月11日

文部科学省が平成23年度〜平成25年度の3カ年にわたり実証研究を進めてきた

学びのイノベーション事業に関する

学びのイノベーション事業実証研究報告書

が公表されました。

 

この週末

全文ではありませんが

関わりを持っている分野

1、2、6、7、8章を中心に

読ませていただきました。

フューチャースクール事業から数えると4年間

双方の事業にとり組まれた実証校の先生方

協議会関係者の方

学識経験者、研究者の方

関係企業の方

そしてICT支援員の方々

多くの方々の熱意と努力の積み重ねの上で完遂された事業であり

その集大成的報告書の重みを感じずにはいられません。

このような資料が公表され、目を通すことができ、感謝です。

 

この4年、間接的に関わりながら各地の様子を見聞きしてきました。

実際の授業を目にする事も幾度か有り、その度に発見があり、

私なりに、多いに学ばせていただきました。

 

本事業に端を発し、自治体独自で事業推進したケースもありました。

私自身、ICT支援の現場で関わる事も多く、

この4年間で、教育の情報化の在り方は大きく変わったことを肌で感じてきました。

 

最近は、授業の中で、電子黒板や学習者用端末、デジタル教科書(多くの場合は指導者用です)が活用されるシーンも珍しくなくなり、

先生方からは、操作研修よりも、効果的な活用事例を求められる事が増えてきています。

本報告書には、教科、学年、校種別の効果的な指導法や課題についても網羅的に記され、今後の指針として大変参考になる内容になっています。

指導案検討や授業設計の考察、ICT支援の現場でも、多いに活用されるものだと想像しています。

 

私の現在の仕事である「教育ICTデザイナー」としての視点では、

全体設計を目指す以上、課題として提言されている内容には、その解決策を探り、提示してく必要があり、ここを考えることが、本報告書のもう一つの読み方となりました。

特に、「第8章 今後の推進方策」に書かれている今後の課題については、深刻に受け止めています。

なぜ、同様の課題に直面し続けているのか?

 

ある方は

「教育の情報化は、教育現場が欲した事を発端としたというよりも、産業界の要請を外発動機として事業設計され推進されてきた部分は否めない」

と仰られました。

キッカケとしてそうであっても、改善を繰り返すことで活用されやすく、日々の助けとなる環境に進化できれば、結果的には望ましい整備となるはずです。

しかしながら、本事業に限らず、教育情報化事業の多くの現場では同様の課題が山積し続けています。

なぜなのでしょうか?

いったい誰のための整備なのでしょうか?

今後、学習者用端末やデジタル教科書を中心とした、一人一台環境の整備を推進するのであれば、

関係者はその解決策を探る為に、立場を超えて議論すべきです。

 

なぜ、教員のICT活用指導力が向上しないのか?

向上させる事も必要だとは思いますが、

「向上せずとも活用出来る教育ICT環境」を考えるべきではないのでしょうか?

 

今後、さらなる情報教育の充実を求められています。

社会の変化、とくに情報化の進化スピードは想像を超えている感もあります。

また、少子高齢化、人口減少、世帯数減少が見えている日本では

今の子どもたちが15年〜20年後の未来に、

自らの職を得て、結婚し、子どもを授かり、家族を養うために、

社会を生き抜いていくためには、情報活用能力が欠かせない武器となることは、

「21世紀型能力」「キー・コンピテンシー」というキーワードで語られ、提言されている通りです。

足下を見たときに

小中学校の9年間で、全ての児童生徒が、発達段階に応じた情報教育を受け、情報活用能力を身につける事が出来ているでしょうか?

担任教諭の熱意、意識に左右されている現状を知り、

情報教育に取り組んでいる家庭が、はたしてどの程度存在しているのでしょうか?

 

この事業がスタートした4年前を振り返ってみました。

平成21年(2009年)夏、iPadはこの世に存在しませんでした。

iPadは2010年1月に発表されました。

ソフトバンク孫正義社長は「光の道構想」を掲げ、当時の政府へIT立国を提言していました。

DiTT デジタル教科書教材協議会 が発足したのは、2010年5月です。

子どもたちに一人一台のタブレット端末を!

デジタル教科書を実現して、教育革命を!

のようなスローガンとビジョンに満ちた時代だったと記憶しています。

求めたのは誰だったのか?時代だったのか?

現場の先生や子どもたちではなかった、のではないでしょうか?

 

もう、繰り返す猶予も、財政的余裕もありません。

子どもたちは日々成長していきます。

より良い学びに繋げていくために

この報告書が示す事柄を丁寧に理解し

現場目線で、活用し続けられる教育情報化事業をデザインしていきたいと

改めて再確認しています。