一人一台 効果と課題
「一人一台 効果と課題」
5月24日(土)
「九州ICT教育支援協議会 総会及び公開研究会in佐賀」が開催されました。
(主催:九州ICT教育支援協議会 後援:佐賀県授業デザイン学習会)
協議会の設立当時から理事として関わり、今年4月より事務局を兼務する事になった関係で、総会と公開研究会を佐賀で開催する機会を頂きました。
研究主題は「一人一台の効果と課題」
佐賀県は、既報の通り今年度の県立高校の新入生に学習者用パソコンの購入を義務づけるなど、他地域に比べ早く、一人一台の情報端末の整備を実現している事例が存在します。
・総務省フューチャースクール実証研究校 2校(佐賀市立西与賀小学校:Win7、佐賀県立武雄青陵中学校:Win7)
・総務省ICT絆プロジェクト採択校 4校(佐賀市立赤松小学校:Win7、同若楠小学校:Win7、武雄市立山内東小学校:iPad1、同武内小学校:iPad1 ※武雄市はH26よりAndroid)
・佐賀県先進的ICT利活用教育推進事業実証校(県立鳥栖香楠中学校:Win8、同唐津東中学校:Win8、致遠館中学校:Win7)
・佐賀県立高等学校(全36校 平成26年度入学生の全員:Win8)
・佐賀県立特別支援学校(全8校 小中学部:iPad4、高学部:Win8)
平成22年度より実証校での取り組みがスタートし、良きも悪しきも多くの事例を経験してきた地域だと言えます。
実証校での公開授業や事例発表も重ね、一人一台の効果を探る過程や、効果そのものについて披露する機会はこれ迄もありました。
しかしながら、「課題」について共有し、公に論じる場が無く
その場を設定する事を第一の目的として企画しました。
プログラム内容は次の通り。
遠くは関東、近畿、中国地方、九州内は沖縄以外の全県より、71名の参加者が集い、熱気に包まれた雰囲気の中、進行していきました。
講演またはパネリストとして登壇された3名の先生方は、
「一人一台だからこそ出来ること」
例えば、個別ドリル学習、個人での動画視聴やファイル編集など。
「一人一台だからこそ露になる課題」
例えば、トラブルによる授業遅延、充電忘れなど。
経験してきたからこそ滲み出る説得力をもって、「効果と課題」について発表されました。
ワークショップでは、7つのグループに分かれ、
ブレインストーミングとKJ法を取り入れ、「効果と課題」について分類・整理していきました。
教員、研究者、学生、ICT支援員、企業関係者などが入り交じり、活発な議論が展開されました。
ファシリテーターも控えていましたが、殆ど出番が無いという嬉しい誤算。
課題意識の高い参加者から、多くの意見が出され、発表されました。
内容は、地元新聞や、協議会HP等で今後公表される予定です。
講演 〜 ワークショップ 〜 パネルディスカッション
3時間に及ぶ研究会を通して、
一人一台に象徴される、多数の情報端末を活用する場合の幾つかのキーワードが浮かび上がってきました。
・オフライン
・余計な機能は使わない
・だれでも使えるICT環境
・授業デザイン
・ICT支援員
45分、50分という限られた授業時間の中で、学習目標に到達する為に必要な事です。
学習指導要領を読むと、授業時数が増加し、消化する中での「余裕」が無くなっていることが理解出来ます。
先日開催されたEDIX期間中に参加した懇親の場で、
「教育関係のメーカー・販社関係者が、学習指導要領を読んでいない」
と指摘される方がいました。私が知る範囲でも、同意するところです。
その結果、
企業の論理により、細かな機能が付加され続け、使い辛い製品が産まれ続けています。
これらを組み合わせた環境で、プレゼンしてみてください。
時間内に意を伝え、理解させる事ができるでしょうか?
教育行政関係者の方、役所内の決められたシステム操作の経験でのみ判断し、
「ICT支援員は要らない」
「簡単な業務だから、臨時採用で構わない」
と考えてませんか?
一日、学校の情報担当者として過ごしてみてください。
もしくは、ICT支援員として過ごしてみてください。
どれだけの負担を強いる事業設計であるのか、体感出来るのではないでしょうか?
今回の研究会では、公開授業等これ迄の研究の場では決して見えてこなかった事が共有され、議論の深まりを生み出したのではないでしょうか。
「事実を知り、多様な立場から建設的な協議を行う場」が各地で増え、
「よりよい教育ICT環境」→「よりよい授業、よりよい学び」
につながっていく事を願って止みません。
ご参加くださった皆様、ありがとうございました。
運営にご協力くださった皆様、ありがとうございました。
登壇くださった先生方、本当にありがとうございました。