教育ICTデザイナー  田中康平のブログ

教育ICT環境デザイン、ICT支援員、幼児教育とICT、など

「スナック・ネル」

「スナック・ネル」って何?

ご存じない方は「?」と思われるでしょう。

実は、8月下旬から「スナック」のマスターを始めました。

といっても、実際の店舗はなく、ネット上に存在する「場」です。

毎週月曜日の22:00ごろ、マスター(僕)と常連のお客様二人とゲストの方がカウンター(ここではビデオチャットGoogle ハングアウト)に集い、教育とICTにまつわる時事問題から過去と未来の話などをゆるやかに広く深く語り合っています。

その様子は「ハングアウトオンエアー」を使ってYouTubeにライブ配信。


田中康平 スナック・ネル - YouTube

YouTubeチャンネルにアーカイブされていきます。

「スナック」ですから、もちろんアルコールを片手に、普段着の会話が進みます。

座席はカンター以外に「ボックス席」も用意されています。

ボックス席は、Facebookの公開グループ「スナック・ネル」の中に設置され、

毎週月曜の放送中に、様々な方々からのコメントが寄せられます。

このグループは、「教育とICTを愛する人」であればどなたでも参加できます。

グループのメンバーであれば、どなたでも参加承認していただけます。

僕が知らないところでも、じわじわ増えているようです。

最近、常連の林さんがスナック・ネルのWebサイトを創ってくださいました。

f:id:tanakou64:20141012082511p:plain

お店の概要は、こちらに書かれています。

過去の営業(放送)アーカイブやゲストの方も、こちらのページからご覧いただけます。

毎週月曜の22:00頃からスタートします。

一応1時間の予定なのですが、毎回話は尽きず、15分〜1時間オーバー。

放送終了後も、さらに話が弾む事もしばしば。

話題に事欠かないことの裏返しかもしれません。

これ迄の主な話題は

・ICT環境整備の課題、タブレット端末と無線LANの技術的部分など

・新たなICT環境と自治体のセキュリティーポリシー

・行政と教育現場

・一人一台のタブレット端末と財政負担など

総務省文部科学省などの国策事業と今後

・ICT支援員について

・公立学校と私学の違い

・海外のICT活用の話

・ICTを活用した授業

・学会の動き

など、思い出しただけでも多岐にわたります。

 

スナック誕生のキッカケ

以前、このブログで書いた記事


安易なタブレット端末導入への警笛 - 教育ICTデザイナー 田中康平のブログ

これを、林向達先生(徳島文理大学)がFacebookで投稿してくださった8月21日。

投稿内のコメントで、この記事で指摘した課題に共感してくださった坂井岳志先生(東京都内の小学校教諭)と林先生、僕の3人で

「様々な課題を表に出して、オープンに持続的に議論する場が必要」

という見解を共有した事でした。

その4日後、8月25日(月)にプレオープン。

この身軽さは、ICTの成せる技でしょう。

今夜(10月13日 月曜22:00ごろオープン)の営業で7回目になります。

「ネル」の由来ですが、
弊社(株)NEL&Mから。NELは、New Education Labの略です。

スナックの方向性にもマッチしてるのではないかと。後付けですが、、、

よく「ネル=練る」と思われるようです。

それでも良かったかなと、ゆるく考えている自分がいます。

林先生とは、東京の研究会でお会いしたときに、こちらから強引にお声掛けしてからのご縁。

ニュートラルな立場で話してくださる、大好きな研究者です。

坂井先生とは、教育ICTの課題について発信していたところへ大いに共感してくださり、上京した際に懇親を深めることになってからのご縁。

若気の至りも抜けない僕の話にも、真摯に耳を傾けてくださる素晴らしい先生です。

お二人とも、日頃直接お会いする機会は多くはありませんが、SNSなどICTのチカラを借りて繫がりを保ち続けている間柄です。

 

スナックの目的

点在している「教育とICT」に関する議論や課題を集めて、オープンにフランクに話し考える「場」となる事です。

学会や研究会、展示会など、各地で課題意識を持った方々の意見や情報交換がなされていますが、その場限りで終わる事も多く、霧散している印象です。

以前、林先生がいつも書かれる[常連日誌20140908](※Facebookグループ内)の中で

「この国が議論ばかりして前に進んでいないとしたら、それは議論を振り返らずに捨ててばかりだからであり、お互いに好きな部分だけを見続けているからではないか」

という指摘がありました。

共感するところが多々あります。

「今度じっくり話しましょう!」と別れた後の今度が中々来ない。

皆さん忙しくて、自分の仕事や研究に励まなければならない。

そういう中で、教育とICTに関しては、過去からの同じ課題を解決しないまま繰り返し続け、決して前進しているとは言えない状況です。

テクノロジーは進化していますが、環境整備(デザイン)は昔の考え方と変わりません。

授業法、授業設計(デザイン)も、整備されたICT環境の罠に陥ることが多く、良い意味での割り切りが難しい。

常連のお二人の他にも

「現場の先生」「研究者」「企業」「行政」「保護者」など、教育とICTに関わりのある多様な立場の方々をゲストにお迎えして、多様な視点から話を進め広げ、課題を掘り下げて、その解決策の一端でも考えていければと思います。

その中でベースに置いているのは

「日本の公教育の現場が良くなっていく事」

教育とICTの期待が高いあまりに、様々な立場の方の希望的未来予測が入り交じり、現場の教師や子ども達、授業、そこに存在する多くの課題が置き去りにされていると感じています。

スナックの中でも論点・視点の整理をつけながら、

「誰のための」

「何のための」

という部分を大切にしていきたいところです。

 

スナックというチカラを抜いた場所で、それぞれの立場で培った見識や経験を、一般的な話として持ち寄って語り合い、アーカイブする。

ここに意義と、面白みを感じます。

内なる目標は「どこまで続けられるか」

ゆるやかに頑張りすぎないように、

楽しみながら月曜の夜を迎え続けていきたいと思います。

針路に悩む

今、針路に悩んでいます。

私は、公立学校の教育ICTに長年携わってきたました。

PC教室の整備から始まり、ミレニアムプロジェクト当時の校内LAN、グループウェア、校務支援システム、学校HP、校務端末、端末管理、教育イントラ、1to1環境、ヘルプデスク、ICT支援員、etc

その他にも新設学校のICT系設計協力など、学校に存在するICTに関する殆どのモノの設計、企画、調達、整備、導入、サポートに携わってきました。

そこに関わる利害関係者とも、幅広く接してきました。

授業も見せていただきましたし、ICT支援という形で、中で関わってきました。

課題山積。

実情が分かってきました。

その原因、遠因も見えてきました。

そうして、関わりを深めるほど、視野が狭くなる自分がいます。

それではダメだと感じています。

この感覚は良いことだと思っています。


巷ではタブレット端末など、商機盛んに動いています。

同じ話を20年前、40年前にも繰り広げていたというご指摘をいただきます。

当時の書籍にも書かれていますし、色褪せない部分が多いと思います。

ICT云々だけで考えていても、課題は繰り返すだけです。

様々な事を紐解いて行くと、ICTと離れたところに行き着くのでしょう。


現在が過去と違う部分は、ICTに限らず、課題の範囲が広り、多岐に渡っている点ではないでしょうか。


私自身が感じるのは

「学習者=子ども」と

「家庭も含めた子育ての実情」

が議論の中で置き去りにされていないか?ということです。

そして「変わらないもの」

を見通すことの大切さです。

「木を見て森を見ず」ではないですが、

学校や家庭で子どもが活動する姿を見つめなければなりませんし、そこから学び、広くデザインしなければならないと、最近強く考えています。


ICTが生活の中に当たり前に存在し、触れ始める年齢はどんどん低くなっています。

あるアンケート調査によると、

1歳児の74%

2歳児の85%がスマホを使用することがあると回答し、

その内半数は習慣化している傾向が出ています。

※ママスタジアム:子どものスマートフォン利用調査

~子どものスマートフォン利用調査~


スマートフォンに限らず、

場所を問わず携帯型ゲーム機に夢中になる児童を見かけることは珍しくありません。

早々と家庭でICTに接し、暮らしています。

学校現場だけに効果的なICT活用や子どもの伸び、

課題解決を期待するには酷な状況になってしまっています。


今後も、教育に対してICTを通して関わって行くことに変わりはないと思っています。。


どういう姿を求めたいのか?

誰のため、何のためなのか?

相手は誰?

場所は何処?

手法は何?

自分はどうする?


幼稚園でのICT活用や、

ICT活用スクールの運営はそういう想いの中でカタチとなった部分です。

学校と離れたからこそ見てくることが沢山ありました。

出来ることが多い事を、園児やスクールの子ども達から学んでいます。

その他の活動をフラットに再考中です。


多重奏で考えてトライし、

将来的にはオーケストラの指揮者の様に振る舞うイメージは持っていますが、

どうすれば、そこへたどり着けるのか?

前例が無いため、恐々手探りで進んでいます。

とにかく、考えなければならない範囲が広い。

しかし、広く見ていなければ、自分も、課題の本質も見失って、遠回りになってしまいそうです。


しばらくは、悩み考え、動きながらの日々が続くことでしょう。


そう簡単ではない。

特効薬もない。


大雑把な議論の行く末

「大雑把な議論の行く末」

最近、全国系のテレビや新聞紙面、雑誌、Web媒体などで「教育ICT」に関連する話題が取り上げられる機会が増えてきました。

それだけ、世間の関心を集めているのだと、私自身は喜ばしく感じています。

そのような中、見聞きしている媒体や人によっては「情報教育」「ICT教育」「ICT利活用教育」「デジタル教育」など、様々な言葉が飛び交い、よく聞くと同じような意味合いだったり、掘り下げると異なる文脈を指していたりと、そうするうちに内容がよく掴めなくなることもあります。

先日放送された、NHKクローズアップ現代では「学びを変える?〜デジタル授業革命〜」と題して、国内(佐賀県広尾学園)と海外(韓国)など、多様な事例を交えて、現状と課題についてレポートされていました。

視聴後の感想は「?」が沢山浮かんでしまいました。

「教育とICT」の露出が増えるほど、違和感が残ることが多くなりました。

例えば、高校で情報端末を含めたICT環境整備を行い、実践を進めている事例では

・県立高校の全1年生:一人一台:Win8:半BYOD(保護者が一部負担):佐賀県

・県立高校の特定の科の生徒:一人一台:iPad:BYOD:千葉県立袖ヶ浦高校

・私立高校の特定の科の生徒:一人一台:iPad:BYOD:広尾学園高校

・私立高校の教員と一部のコースの生徒:iPad:貸与:博多高校

・私立高校の全2年生:Win8:貸与:立命館宇治高校

・私立高校の一部のコースの生徒:Win8:BYOD:佐野日大高校

などが挙げられます。

公立と私立、WinとiPad、学年、学科、コース、BYODと貸与、、、

文字情報からでさえ、導入状況や条件が個々に異なっていることが分かります。

カリキュラムや学校の方針が異なると、活用法は驚くほど違ってきます。

当然、稼働状況、課題や効果も様々です。

それらが、教育ICTの先進事例として同じ土俵で扱われる事がしばしば見受けられます。

一般の方の視点で考えると、

「学校」「ICT」「デジタル」のようなキーワドで捉えられ、

「あの学校は上手く行っているのに、なぜあそこは課題が多いの?」

「海外では効果がないという意見があった、日本でも同じではないか」

iPadは良くてWinは良くない」

「Winは良くてiPadは良くない」

「海外で成功した授業法で、日本の授業も革命が起きるかもしれない」

のような、とても「大雑把に」受け止められているのではないかと、心配になります。

個別事例から課題や効果を読み解く際には、

ICTを導入した「目的」「背景」「構築された環境」「活用法」「指導法」などの違いを整理して考え、議論しなければ、課題解決策や効果を生み出した要因を把握する事は難しくなります。

公立と私立では「目的」「背景」など大きく異なります。

公立でも「地域のICT導入の歩み」や「進学校、実業校などの校種」でも異なります。

小・中・高校でも「担任制と教科担当制」「部活の有無」「教員の年齢構成」など多くの事が異なります。

子どもたちの様相も様々です。

入試により選抜された学校か否か、でも異なります。

「活用法」「指導法」など教科によっても異なります。

地域の実情によっても異なります。

国が違えば、教育方針も、教育内容も、文化も、教員の業務内容も大きく異なります。

選挙で「教育」が争点になる国もあれば、

「一点突破主義の劇場型選挙」が実施される国もあります。

 

右も左もよく分からない創世記にありがちな大雑把な議論の時代はそろそろ終えて、

個別事例について時系列や背景を含めて紐解きながら

具体的な知見を深め、共有する時代へ歩みだしていくために、

「教育ICT」の事を四六時中考えている者としては、感じている違和感の源を整理して、望ましい議論の方向性に対する自身の考えを発信する必要性を感じています。

一部の専門家だけではなく、少なくとも社会へ発信する立場にある教育関連の記者の方々にも認識して頂き、

切り口鋭い問題提起を通して

「より良い授業」「より良い学び」「子どもたちのより良い未来」に繋がるような建設的な議論を促して欲しいところです。

このまま「大雑把な議論」を続けていても、いつの時代も同じ課題を持ち続け、多くのコストを浪費することになりかねません。

ICTを教育に取り入れる事は、ここ数年の話ではなく、ずっと昔から脈々と続けられてきた事です。

1986年に出版された「マイコンクラスルーム 未来の教室 CAI教育への挑戦」(中山和彦・東原義訓 著)の中では、

「高度情報化社会においては、これまでの工業社会の下とは違った人間が要求されている。画一的な人間ではなく、情報についての理解とそれを自分なりに処理する事のできる個性的な人間である。学校はそれに対し、どのように対処したらよいのであろうか。」と提起されていました。

28年も前に、今の議論と同様の事が行われていたようなのです。

なぜ、同じ課題を抱え続けているのか?

目新しい技術や先進事例が話題を集めるのは当然ですが、

その奥底にある「未だ解決されていない課題」に対して、広く議論できる時代の到来を望んでいます。

 

(追伸)

最近、Web上に「スナック・ネル」という一風変わった空間をオープンしました。

毎週月曜の22:00〜23:00に常連のお客様をお迎えして、教育とICTについてビデオチャットGoogleハングアウト)を利用して議論し、その様子をYouTubeでオンエアーしています。

今週の様子は

スナック・ネル 第2回営業[20140908] - YouTube

より、どなたでもご視聴いただけます。

ご意見等を書き込むタイムラインは

FaceBookグループ「スナック・ネル」の中に開設しています。

「教育とICTを愛する方」であれば、どなたでもご参加頂けます。

方々に散らばってしまっている課題や知見を持ち寄って、

フランクに話し、考え合える場になればとスタートしました。

ゆるやかに始めていますので、あまり多くを期待せず、長い目でお付き合いください。

こちらの方も、よろしくお願いいたします。

 

 

 

安易なタブレット端末導入への警笛

学校のPC教室整備

今年はタブレット化の波が押し寄せ

各地で自治体予算による整備が進んでいます。

その動きに水を差すようですが

あえて「警笛」を鳴らしたいと思います。

話題に上がるのは、1to1の様な大規模整備ではなく、

従来のPC教室整備予算で行うケースが殆どです。

当然、台数は40台前後

集めれば1人1台になり、

グループ活用もできる規模です。

整備内容は、PC教室の端末がタブレット端末に置き換わり

無線LAN環境を追加するというもの。

予算は限られていますから、そう贅沢はできません。

教育委員会側も、導入業者側も

PC教室時代の仕事の延長です。

タブレット端末ですから、

PC教室を飛び出し、普通教室で活用する事をイメージしています。

「普段の授業で活用する」

この事をどれだけ真摯にイメージできたか?

で整備の善し悪しは決まります。

最近

タブレット端末の活用が進まない。どうすればよいか?」

という相談が寄せられます。

ICT環境を聞くと、PC教室時代と何ら変わらない構成。

「活用のポイントを絞らないと難しいですね」

と答えます。

なぜ難しいのか?

PC教室と普通教室の違いを表にしてみました。f:id:tanakou64:20140820175041p:plain

「求められるものが違う」

という事がお分かりいただけるのでは無いでしょうか?

言い換えると、其々のメリット、デメリットが見えてくると思います。

普段の授業で活用する場合、授業進行や思考の妨げになっては本末転倒です。

タブレット端末の活用は、フューチャースクール等の実証研究により、ある程度の知見が蓄積され、報告書なども公開されています。

そこに書かれた事だけを参考にしてはいけません。

現地に行って、実際に活用している先生方、子ども達の本音を聞いてみてください。

普段の授業で活用する場合、「ごまかし」がききません。

「使いやすいもの」だけが残り、後は淘汰されます。

整備に関わる立場によって、様々な目的はあるでしょうが、

今のままでは、活用されない機器やシステムを産み、

今まで以上に批判の対象となる可能性があります。

提案する方は、授業を見に行きましょう。

そして、自分が「授業をする、受ける」立場で考えてみましょう。

整備する教育委員会の方は、先生方の話に耳を傾けましょう。

整備ありきではダメです。

活用ありきで考えてください。

その先に1to1を考えているのなら尚更です。

普通教室・普段の授業の中で活用するという意味合いや重みを受け止めて

教育委員会、導入業者、そして先生、子どもたちが

「よかった」

と思えるカタチを模索してください。

そうしなければ、短期的な目標達成はできても

長期的な発展・繁栄は望めないはずです。

今、焦って導入する必要はないと、私は思います。

「夏のロード」全てはチャンスの連鎖から

「夏のロード」がほぼ確定しました。

今後の予定よりピックアップ

・7月25日 「つるみね保育園」へ幼稚園の先生方と視察

・7月29日 (財)学習ソフトウェア情報研究センター(学情研)
      「情報教育セミナー2014」参加

      「学習デジタル教材コンクール表彰式文部科学大臣賞(団体)の参観
       ※つるみね保育園の杉本園長先生のお供役兼務

・8月4日  「第3回 教育情報化カンファレンスinおおいた」ワークショップ担当

・8月上旬 某企業幹部向け「教育の情報化にけおるコンサルタント養成講習」

・8月上旬 幼稚園でのICTタイム「1学期の指導の省察

・8月21日 某市教育委員会主催教員研修(300名対象)で講演

・8月28日 都内某所で講演(後に本になるかもしれないそうです)

・8月30日 JNK4設立10周年記念 夏の合宿研究会 サマーキャンプin北海道
       ナイトセッション講師

他にも、今後の実践の種蒔きや、受託業務等々、びっしりと埋まってきました。

昨年の今は「サラリーマン」でした。

起業1年目。

この夏の状況は想像以上です。

どれも振り返ってみると

「これまでの言動」

「支えられている人脈」

「それらを見てくださった方からのお声がけ」

によるものです。

本当に有り難いことです。感謝しています。

1年後、3年後、5年後、10年後の

「自分なりの未来予想」

を描きながら進んできました。

未来から逆算しながら次の進路を選びつつ

そこから見える目の前の事を

できる限りのチカラで取り組んできました。

その結果、

予想を超える所で、速さで

布石が繋がり、人が繋がり、時が繋がり、

チャンスが連鎖していくのを実感しています。

まだまだ、踏み出し始めたばかりの事だらけで、

各々が自立したカタチを成すのはこれからですが、

今の勢いのまま

1つ1つ結末を付けて

「よりよい次へ」

繋げていきたいと思います。

熱い夏になりそうです。

ICT利活用教育に係る公開授業の視点・論点

7月6日〜8日

佐賀県の県立学校及び一部の小中学校 56校の公開授業を含む

佐賀県 平成26年度 第1回 先進的ICT利活用教育推進事業に係る成果発表会

が開催されます。

どなたでも参加、参観できます。

全国の教育委員会関係者や教育関係企業の方々も多数来佐されると聞いています。

このような公開授業は、佐賀県に限らず今後各地で開催されると思います。

その際の視点・論点を私なりにまとめてみました。

参考にしていただけたらと思います。

まずは、学校内の環境について

佐賀県立高校・普通教室のICT環境」

 ・電子黒板(B&Sメディア製 ※韓国 液晶型)×1台

 ・学習者用パソコン(富士通製 ※Win8Pro デジタル教材含む)×40台(全生徒)

 ・学校内サーバ(ユーザー管理、ファイルサーバ)

 ・無線LANアクセスポイント×2台

 ・授業支援システム(SkyMENU、XSync)

 ・充電設備 無し

 ・ICTサポーター(支援員)学校に1名

 です。

【視点1】

「学習目標」

 ICT環境は大幅に変化しています。

 学習指導要領は現行のままです。

 当然、学習目標自体は変わらない。

 なので、

 いきなり「21世紀型スキル」「課題解決型」「アクティブラーニング」

 などを求めることはありません。

 そこを取り違えて授業を見てしまうと、

 授業者と参観者のストーリーのズレに違和感を覚えることに繋がります。

 「指導要領が変わらない=学習目標も変わらない」

 「本時の学習目標」

 この点は、授業参観の前に、しっかり確認してください。

【視点2】

「授業デザイン(設計)、授業進行の変化」

 従来の一斉型授業からの変化があるか?

 導入ー展開ーまとめ の時間配分の変化は?

 ※レディネスチェックや、教材提示等におけるICT活用による時間配分の変化など

 学習目標は変わらなくとも、授業全体の流れに変化が生まれているかもしれません。

 先生方の授業デザインや教材研究が進む中で、

 効果的だと思われる手法に挑戦される先生が増えているそうです。

 導入に何分?

 展開に何分?

 まとめに何分?

 時間配分を測定し、以前と比較した場合の変化などを質疑の場で確認すると如何でしょうか?

【視点3】

「ICTツールの活用」

 ・学習者用パソコンの起動〜Winログオン=AD認証〜起動終了

  全台起動終了までに係る時間は? 

  通信不可、起動不良の発生とその対応

 ・電子黒板の活用

  最後列の生徒目線での画面内容と高さの確認

  提示資料のフォンとサイズ、色、コントラストは適切か?

  板書との併用具合

 ・活用されやすい環境デザインが実現されているか?

  授業支援システム/学習者用端末/電子黒板の操作感

  机上の配置(教科書、ノート、端末)

 

【論点1】

 「どのように授業へ貢献しているか」

 ・ICTツールがあった方がよい授業だったか?

 ・ICTツールがない方がよい授業だったか?

 その考察ポイントはどこか?

【論点2】

 活用の課題

 ・課題点のチェック(授業者の活用、生徒の活用、その他)

 ・解決策は?

 ・学校現場で解決可能な課題か?

【論点3】

 整備の課題

 ・整備の目的は明確か?(学力向上/21世紀型スキルの育成/情報活用能力/その他)

 ・目的に沿った活用に至っているか?

 ・費用対効果

 

佐賀県立学校がICT利活用教育を推進した経緯や投じた予算については、

1人1台の情報端末は必要か?〜佐賀県の事例から〜/田中康平の<教育現場レポート> | ICT教育ニュース

にてレポートしています。

 

この機会に、視点・論点を整理し、

今後の教育ICT環境整備等に有効な施策や提案に繋がっていくことを期待しています。

次世代型教育ICT環境整備事業計画モデルプログラム

「次世代型教育ICT環境整備事業計画モデルプログラム」

こうして文字で見ると長い名前ですね。(笑)

どこか削ろうと試みましたが、削るところは無い。

との結論に達しましたので、このまま行きます。

これは、何かと言いますと、

今後のICT導入に際して、教育委員会や教員、その他関係者が事業計画を立案する際の指針となるモノです。

ここ数週間でまとめ、Ver1.0が完成しました。

弊社(私)のオリジナルです。

数週間のまとめの裏には、十数年の蓄積があることも添えておきます。

さて、

次世代型教育ICT環境?とは

1to1の情報端末、電子黒板、デジタル教科書、反転、協働、21世紀型、、、など、

「これからの子どもたちに必要か?」

「効果的に活用する為にはどうしたら良いか?」

という視点で検討すべきICT環境を指します。

これ迄の事業計画は、予算管理及び入札担当部署が主導(というか、ほぼここだけ)して立案してきました。

予算獲得後は、入札執行まで従来の流れ・手続きに沿って粛々と進むだけ。

そのような中で「次世代型ICT環境」を整備する事には限界があります。

なぜなら、「最も肝心な部分」がスッポリ抜け落ちているからです。

「子ども」と「授業」です。

本来、その為に環境を整えるべきですが、

環境を整える事が目的となり、

一番大切な所が置き去りにされているケースがとても多いのです。

今年度、タブレット型情報端末の導入に代表される「次世代型ICT環境整備」を行う自治体は増えました。

※参考情報:教育家庭新聞社調査(2014年5月)

来年度以降の導入を検討し始めた自治体も増加しています。

これ迄の手法で計画し、実行していては

「導入したが、使われない」

の繰り返しです。

それは、絶対にいけません。

PC教室と違い、普通教室での活用をメインにしている次世代型環境では、

導入時の善し悪しが、その後数年間ずーっと授業に影響し続けます。

課題を分析しようとしても、

往々にして、担当者の異動により責任の所在は不明になります。

関係企業は、「ビジネスチャンス!」に惑わされ、

売りたいモノを提案してしまいます。

もう繰り返すべき時代ではないのです。

今こそ、「次世代型教育ICT環境整備事業計画」の立案、実行方法を問い直し、

しっかりと活用し続ける事ができる環境を、

「子どもたち」「授業」

から逆算して、導入して欲しいと願います。

 

モデルプログラムの一部を公表します。

「モデルプログラムの構成」

f:id:tanakou64:20140628062157j:plain

 

「ICTを含む学習環境整備計画の転換」

f:id:tanakou64:20140628060936j:plain

これが、基本的な進め方です。

「明確なゴール」からの逆算へ、発想を転換してみませんか?

そして、検討委員会などの体制づくりも

f:id:tanakou64:20140628061125j:plain

このような逆ピラミッド型で進めては如何でしょか?

その他、評価シート等の資料も含んでいます。

※制作:教育ICTデザイン - ICT活用スクールNELS と 教育ICTデザイン NEL&M

 

このタイミングで転換出来なければ、負の遺産になりかねません。

「これ迄と違う」=チャンス!

と、ポジティブに捉え、

普通教室で活用するという事の意味、

整備の在り方を問い直してみませんか?