教育ICTデザイナー  田中康平のブログ

教育ICT環境デザイン、ICT支援員、幼児教育とICT、など

読書とアプリ

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読書が素晴らしいのは、目に入る情報量が思考や想像(空想)の邪魔をしない適度に少ないものだからだ。

ゆえに集中し、没頭できる。

一方、ゲームなど、情報量が多く刺激的なメディアに没頭するのは、思考や想像(空想)が続いているのではなく、射幸心により離れられなくなっているだけである場合が多い。

そう考えると、パチンコ台の前に数時間座り続けることや、RPGを何度もクリアすることが理解できる気がする。

最近、子供向けの情報端末や知育・学習系アプリが増えてきているが、保護者が与えるアプリを選択する場合、この点に注意しなければならないだろう。

誰だって、

我が子が大人になった時に、

「自分らしく能動的に活動し、人生を豊かに生きて行って欲しい」

と願うと思う。(稀に、相反する事件を知るたびに、心が張り裂けそうになる)


子どもの頃から、射幸心による動機付けで学習を継続する習慣を身につけて良いのだろうか?

いや、違うはずだ。

「誰かに伝えたい」

「表現したい」

「自分を知ってほしい」

「相手を理解したい」

そのために、学び続てほしい

と心から願う。

悔いが無いように、生活する。

ブログのエントリー先を「誠ブログ」に拡大して1週間が経ちました。

やっぱり、IT/ビジネス系Webメディア大手は違いますね。(笑)

アクセス数は、これまでのおよそ5倍。

教育関係者に限らず、多くの方に読んでいただけているようで、感謝です。

ニッチな分野だと思っていた「教育ICT」も、最近では一般紙やTVニュースで取り上げられることも増え、世間の関心が高まっていることを実感しています。

 

こちらのブログでは、教育ICTデザイナーとして活動する中で感じたことに加え、プライベートな想いなども綴っていこうと考えています。

これからも、よろしくお願いいたします。

 

さて今回は、

「悔いが無いように、生活する。」

今日は、久しぶりに元同僚の娘さんが遊びにきてくれました。

元同僚の彼と別れてから、6年が過ぎました。

娘さんも大きくなり、すっかりお姉さんに。私の娘と仲良く遊んでくれます。

私は25歳でこの業界に入りました。

彼は半年ほど先輩で、同い年のSE。

私は、ICTに疎い教材営業の担当でした。

教材営業とはいえ、学校に行くと先生からICTのことを常に聞かれる日々。

当時はミレニアムプロジェクトによる校内LAN整備に突入しはじめた時期。

PC単体だけでなく、ネットワークのことなど、知らないことだらけ。

「1日1個、新しいことを覚えよう」

と毎晩、辞書やインターネットで調べていました。

それでも分からないことについて、丁寧に教えてくれたのが「彼」でした。

その彼とは、32歳の時に、本当に、突然別れることになりました。

全く予想だにしない出来事。

未だに忘れることはできません。

当時の感情や情景も、おそらく生涯忘れることは無いでしょう。

残された方々の姿、そして当時の会社の対応など。

そこからです。

今後の進路や人生について考えを巡らせるようになったのは。

とはいえ、すぐに自分が進むべき道が見つかるわけではありません。

しばらくの間は、喪失感に苛まれながら、漫然と仕事をする日々が続きました。

失敗も増え、周囲に迷惑を掛けたこともあります。

「自分に出来ることは、何なのか?」

「自分がやりたいことは、何なのか?」

「どうすれば、今を変えられるのか?」

と考えながら、なんとか毎日をやり過ごしていました。

それから数年が過ぎる中、おぼろげに進路の輪郭が見えてきました。

そこからは、少しずつ情報を集め、計画を練り、周辺環境を整えていきました。

そうして昨年、38歳で起業しました。

今でも、毎日彼に「おはよう」「おやすみ」と声をかけます。

もしここに存在していたなら、一緒に起業しただろうか?

もっと、佐賀の教育ICTは良くなっていただろうか?

と考えることがあります。

6年が過ぎました。

自分の進路が定まり、人生を賭ける仕事が見つかりました。

「明日のことはわからない」

と、身をもって教えてくれたのは、「彼」でした。

これから先は、とにかく、

悔いがないように、生活する。

心の底から感謝しています。

而立から不惑へ

「而立から不惑へ」

孔子論語でも特に有名一節

子曰、吾十有五而志乎學、三十而立、四十而不惑、五十而知天命、六十而耳順、七十而從心所欲、不踰矩、

「子(し)曰(い)はく、「吾(われ)十有(いう)五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑(まど)はず。五十にして天命を知る。六十にして耳順(したが)ふ。七十にして心の欲する所に従へども、矩(のり)を踰(こ)えず」

 

この一年間、頭に浮かべながら過ごしてきました。

 

自分史を振り返ってみると、

 

「15歳」1990年

普通の中学3年生。受験して地元の高校へ進学。普通の高校生になります。

因に、進学先は2007年夏の甲子園でミラクル優勝した佐賀北高校です。

芸術コースもあり、世界で活躍する人材を排出しています。※母校の宣伝でした

私は帰宅部。バンド活動に明け暮れる日々。

学問らしい事は殆どせず、もっぱら社会勉強に邁進した時代です。

文化祭では「かき氷」や「古着店」を出店し、商売していました。

今思うと、原点はこの頃にあった気がします。

純粋に動き、仲間を集め、カタチを成す為に試行錯誤していました。

 

「30歳」2005年

会社員時代

既に結婚し、子どもを授かり、家庭を築いています。

仕事では、小中高校のPC教室の整備や、新築/増築学校案件を担当してました。

 

32歳で同僚の死という忘れられぬ出来事があり、

これを機に今後の人生について悩み、考え、自分の中の志を探す日々が始まります。

 

志が明確になり、覚悟と進路を決めたのが昨年の今日(6月4日)38歳の時です。

その後、10月に退職し、11月から現職に。

この一年は、自分史の中でも心から充実した日々を過ごす事が出来ています。

とは言っても、楽しい事ばかりでは在りません。

思い通りに進まない事ばかり。

それでも、楽しいと感じられるのは、

「実現したい未来」

をはっきりと描けているからだと思います。

 

今日で39歳。

不惑」まであと1年!

 

それ迄に、個人も会社もどれほど成長できるか?

基礎を築き、発展させる為の大切な1年。

様々な支えやご指導に感謝しながら、更に邁進していきます。

 

支えてくれる家族

様々なアドバイスをくださる先輩経営者の方々

いつも快くご指導くださる多くの先生方

多くの事を教えてくれる子どもたち

全ての方々に感謝です。

 

9教授事象×ICT×(反転型)

「9教授事象×ICT×(反転型)」

全小学校で反転型授業を取り入れた自治体

公開授業にお邪魔してきました。

旧知の先生も多く、世間話に花を咲かせながら授業参観

動画コンテンツを家庭で視聴し

ワークシートやe-Learningで予習

そこから本時の授業に望みます。

昨日ブログにアップした、

ガニェの9教授事象×ICTを元に

授業の流れに着目してみました。

 

驚いたのは、導入の短さ。

わずか3分で終了!

LMSにより、レジネスの把握は簡易に短時間で済んだそうです。

加えて、本時で扱う「新しい事項の提示」まで導入で終わらせています。

これは、

動画視聴=家庭学習とLMSの成せる部分でしょう。

 

その後、展開に移ります。

課題に対して、グループでの恊働

その後、全体での恊働

30分、しっかり時間を使います。

まとめは12分程度。

昨日の図を改めると、こういうカタチでしょうか

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客観的に見ても驚きます。

授業デザインとしては、ICTによる効率化と深化を期待したいところです。

 

しかし、、、

 

違和感を感じました。

恊働の時間はしっかり確保出来ました。

発問にも問題は見られません。

授業者はファシリテーションに徹しています。

決して授業力が低いとは思えない、よい流れです。

なぜか議論が活性化しないのです。

 

公開授業という環境で緊張している?

いいえ、ここは実証校。子どもたちは4年生の頃から公開慣れしています。

思春期特有の空気?

休み時間の活動を見る限り、そうとは思えません。

 

なぜでしょうか。

 

個別と恊働を行き交う複雑な思考と活発な活動が見えてきません。

なにか、発露できない雰囲気。

個で思考して事足りているような面持ち。

その原因はどこにあるのか?

 

動画コンテンツの内容はどうだったのか?

教科書に沿った内容。

本時の課題に対する考え方や解を導く流れを把握する内容です。

その上で、授業に望む。

 

想像するに、、、

子どもたちにとって、恊働してまで解決したくなるほどの課題で無くなってしまっていたのでは?

 

そう思うと、納得出来る気がします。

わざわざ話し合わなくても、答えはだいたい分かっている。

皆、同じ動画を見て家庭学習を終えて臨んでいるので、考え方の違いが少ない。

あえて違う答え、違う考えを出す方が難しそう。

まとめの発表で「何か意見や考えはありませんか?」

との問いに対する低調な反応がその事を物語っているように思えてなりません。

「答えを見いだした、発見した時の喜び」

そういう、「熱」みたいなものが感じられない気がしたのは私だけでしょうか。

 

反転型学習を通して

「問題解決能力の育成」

を主題に掲げるのであれば

授業デザインの中で

「動画コンテンツの構成」

ここが授業の流れを決めてしまうように見えました。

 

展開時間が確保出来る事は、大きなメリットだと思います。

その中で

「思考と認知の深まりを楽しむ授業」=「活発な恊働」

に持っていくには

「教材研究」「授業デザイン」

そしてなにより

「授業力」

これが問われるのだと

改めて感じた一日でした。

 

もう1つ

「教材研究」「授業デザイン」

の時間確保はただでさえ難しいので

足し算だけではなく

トレードオフでの事業全体のマネジメント

学校経営を期待したいところです。 

9教授事象×ICT

「9教授事象×ICT」

授業設計、授業デザイン

いわゆる

ID = Instructional Design

について勉強されている方であれば

ロバート・ガニェの9教授事象は重々ご存知だと思います。

 

学校へICT機器やシステムを導入する場合の入口をどこに置いていますか?

凄い製品が出た! このシステムを使いたい!

という動機からスタートしていませんか?

 

「授業とは?」

「授業設計・授業デザインとは?」

これを入口に、教育ICT環境をデザインする。

ここから考えてみたいと思います。

 

まず、

「単元目標」「本時のめあて」

「そこへ到達する為のICT活用」

が整理されている事が重要です。

進行上必要なければ

「ICTツールを使わない!」

という選択も大いにあり得るわけです。

ここでは、到達手段としてICTツールの活用を選択した場合を想定してみます。

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これは、小学校の45分授業の時間配分を9教授事象に落とし込み

各場面でどのようなICTツールが活用されるか?を当てはめた図です。
(あくまでも1つの例です)

ICTツールは、授業者や学習者の活動を助ける道具であって欲しい

学習の妨げになってはなりません。

その為には、

「すぐに使える」「だれでも使える」

これが必要条件になります。

この観点から端末(OS)の選択、大型提示装置の機能、ネットワーク活用の有無など考慮したICT環境をデザインしていきます。

 

授業の流れに寄り添うICT環境デザイン

私のプランでは、驚くほどシンプルに構成されます。

それも安価に。

一人一台の環境が、この観点から導きだされているのであれば

素晴らしい活用、素晴らしい学びの姿を見る事ができるでしょう。

明日も公開授業を見に行ってきます。

入口を確かめてきます。

一人一台 効果と課題

「一人一台 効果と課題」

5月24日(土)

九州ICT教育支援協議会 総会及び公開研究会in佐賀」が開催されました。

(主催:九州ICT教育支援協議会 後援:佐賀県授業デザイン学習会

協議会の設立当時から理事として関わり、今年4月より事務局を兼務する事になった関係で、総会と公開研究会を佐賀で開催する機会を頂きました。

研究主題は「一人一台の効果と課題」

佐賀県は、既報の通り今年度の県立高校の新入生に学習者用パソコンの購入を義務づけるなど、他地域に比べ早く、一人一台の情報端末の整備を実現している事例が存在します。

以下、佐賀県内で一人一台の情報端末を整備している事例

総務省フューチャースクール実証研究校 2校(佐賀市立西与賀小学校:Win7佐賀県立武雄青陵中学校:Win7

総務省ICT絆プロジェクト採択校 4校(佐賀市立赤松小学校:Win7、同若楠小学校:Win7武雄市立山内東小学校:iPad1、同武内小学校:iPad1 ※武雄市はH26よりAndroid

佐賀県先進的ICT利活用教育推進事業実証校(県立鳥栖香楠中学校:Win8、同唐津東中学校:Win8、致遠館中学校:Win7

佐賀県立高等学校(全36校 平成26年度入学生の全員:Win8

佐賀県立特別支援学校(全8校 小中学部:iPad4、高学部:Win8

武雄市立小学校(全11校の全児童:Android

平成22年度より実証校での取り組みがスタートし、良きも悪しきも多くの事例を経験してきた地域だと言えます。

実証校での公開授業や事例発表も重ね、一人一台の効果を探る過程や、効果そのものについて披露する機会はこれ迄もありました。

しかしながら、「課題」について共有し、公に論じる場が無く

その場を設定する事を第一の目的として企画しました。

プログラム内容は次の通り。

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遠くは関東、近畿、中国地方、九州内は沖縄以外の全県より、71名の参加者が集い、熱気に包まれた雰囲気の中、進行していきました。

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講演またはパネリストとして登壇された3名の先生方は、

「一人一台だからこそ出来ること」

 例えば、個別ドリル学習、個人での動画視聴やファイル編集など。

「一人一台だからこそ露になる課題」

 例えば、トラブルによる授業遅延、充電忘れなど。

経験してきたからこそ滲み出る説得力をもって、「効果と課題」について発表されました。

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ワークショップでは、7つのグループに分かれ、

ブレインストーミングKJ法を取り入れ、「効果と課題」について分類・整理していきました。

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教員、研究者、学生、ICT支援員、企業関係者などが入り交じり、活発な議論が展開されました。

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ファシリテーターも控えていましたが、殆ど出番が無いという嬉しい誤算。

課題意識の高い参加者から、多くの意見が出され、発表されました。

内容は、地元新聞や、協議会HP等で今後公表される予定です。

 

講演 〜 ワークショップ 〜 パネルディスカッション

3時間に及ぶ研究会を通して、

一人一台に象徴される、多数の情報端末を活用する場合の幾つかのキーワードが浮かび上がってきました。

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・オフライン

・余計な機能は使わない

・だれでも使えるICT環境

・授業デザイン

・ICT支援員

45分、50分という限られた授業時間の中で、学習目標に到達する為に必要な事です。

  学習指導要領を読むと、授業時数が増加し、消化する中での「余裕」が無くなっていることが理解出来ます。

先日開催されたEDIX期間中に参加した懇親の場で、

「教育関係のメーカー・販社関係者が、学習指導要領を読んでいない」

と指摘される方がいました。私が知る範囲でも、同意するところです。

その結果、

企業の論理により、細かな機能が付加され続け、使い辛い製品が産まれ続けています。

これらを組み合わせた環境で、プレゼンしてみてください。

時間内に意を伝え、理解させる事ができるでしょうか?

 

教育行政関係者の方、役所内の決められたシステム操作の経験でのみ判断し、

「ICT支援員は要らない」

「簡単な業務だから、臨時採用で構わない」

と考えてませんか?

一日、学校の情報担当者として過ごしてみてください。

もしくは、ICT支援員として過ごしてみてください。

どれだけの負担を強いる事業設計であるのか、体感出来るのではないでしょうか?

 

今回の研究会では、公開授業等これ迄の研究の場では決して見えてこなかった事が共有され、議論の深まりを生み出したのではないでしょうか。

「事実を知り、多様な立場から建設的な協議を行う場」が各地で増え、

「よりよい教育ICT環境」→「よりよい授業、よりよい学び」

につながっていく事を願って止みません。

 

ご参加くださった皆様、ありがとうございました。

運営にご協力くださった皆様、ありがとうございました。

登壇くださった先生方、本当にありがとうございました。

30年後

「30年後、2044年」

何歳になっているだろう?

68歳

リタイアしているだろうか?生きてるだろうか?

僕の子どもたちはどうしているだろうか?

長男は41歳、長女は35歳

結婚しているだろうか?

孫は生まれているだろうか?

出張中の機内で読書(貴重な時間です)

「中央公論12月号 壊死する地方都市」

以下、本書より引用

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・「少子化」がもたらす「人口減少」は、同時進行した「長寿化」により高齢者が増え続けたことで見かけ上、隠されてきた。

・地方が自立した多様性の下で持続可能性を有する社会の実現を目指すことが重要となる。

・本来、田舎で子育てすべき人たちを吸い寄せて地方を消滅させるだけでなく、集まった人たちに子どもを産ませず、結果的に国全体の人口をひたすら減少させていく。私はそれを「人口のブラックホール減少」と名付けました。

中央公論2013 12月号 特集「壊死する地方都市」増田寛也 より

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日本の合計特殊出生率は1.41(2012年)

人口が維持される水準の出生率は 2.1

出生を担う若年女性が減少しているので、その水準でも人口減少は止まらない。

人口を増化に転じる為には更に高い出生率が求められています。

地方は高齢化の一途。雇用を担うのは、医療・介護業界。

今後、地方の高齢者も減少し、介護業界の都市部進出が加速するという予測です。

若者は職を求め都市部へ流入し、地方の少子化は加速の一途を辿ると。

東京都の出生率は最も低く、1.09

消滅、壊死する地方都市は多数現れると推計されています。

 

僕の息子や娘が、佐賀で暮らし、家庭を築き

当たり前の人生を送れるように

教育というものを幅広く捉え

真摯に考えていきたいと思います。